JPFCA代表理事であり、グラデーションカラースケール®️の考案者である、 なかがわやすこさんが初めての著書『もう迷わない!38歳からのパーソナルカラー』を出版されました。
この本は表題どおり38歳以上の女性向けに書かれた一般書ですが、ぜひともパーソナルカラーを生業にしている方、めざしている方、アパレルやブライダル、メイクなどビューティやファッションの仕事に従事している方に読んでほしい。
一般の方であれば、パーソナルカラーに疑問や不満を抱いている方。
その疑問や不満に、この1冊が答えてくれるでしょう。
パーソナルカラーの問題点
パーソナルカラーは、とてもユニークで実践的な色彩理論です。ただ、ちょっと「取扱注意」な部分があるんですね。
まじめにこのシステムに取り組んでいたら、必ずそこにぶち当たるでしょう。
もちろん実用的な効果を研究し、注意しながら使いこなして活用できていればいいんです。
でも、答えが出ないまま悶々としていたり、うまくアドバイスできなかったり。あるいは、まだ「取扱注意」点にぶち当たっていないとしたら。
それは表面的にしか取り組んでないか、日本に上陸した80~90年代の古いシステムのままで立ち止まっているということです。
それではあまりにもったいない。パーソナルカラーならではのメリットもたくさんあるからです。
パーソナルカラーにはいくつかの流派がありますが、もっとも一般的でよく知られているのは、4シーズン法。
パーソナルカラーは、うまくタイプにあてはまる人には、このうえなく便利で効率的です。
一方、タイプにあてはまりにくい人には混乱をもたらすかもしれません。
とくにSUMMERとSPRING、SPRINGとWINTER など、イエローベースとブルーベースが同じくらい似合う人をどう判断するか。
そうした「取扱注意」点やこれまで診断を受けた人の「悶々」を解決したのが、グラデーションカラースケール®️です。
パーソナルカラーの目的
流派は違っても、パーソナルカラーの目的は同じ。
「一人ひとりの個性を活かす色を見つけ、その人をより魅力的にする」こと。
では「一人ひとりの個性を活かす色」とは。
「誰もが持っている、その人が得意とする色域」のこと。
意図的に「似合う色」とか「イエローベース」とか「シーズン」とか、パーソナルカラーっぽい「用語」を使いませんでした。躓きの原因は、そこにとらわれすぎているせいだと考えるからです。
手段が目的になっていないか。
本質を取り違えていないか。
どんな仕事でもうまくいかないときはそうですね。これは自戒をこめて。
パーソナルカラーの原点を教えてくれる、グラデーションカラースケール®️
グラデーションカラースケール®️は、従来の「パーソナルカラーっぽさ」にとらわれず、「誰もが持っている得意な色域」をお客さまにもわかりやすいように提示できるツールです。
グラデーションカラースケール®️は、その名の通り、色が段階的に変化していくことがわかる帯状の長い布。
幅140cmなので、一般的なパーソナルカラー診断に使われるドレープと呼ばれる色布の3倍くらいの長さがあります。
一般的なパーソナルカラーの診断では、何枚かのドレープを重ねて胸もとにあて、順番にめくって顔うつりを比較していきます。
グラデーションカラースケール®️を使った診断では、胸もとにあてた長い布を少しずつずらしながら顔うつりの変化を見ることで、得意な「色域」がどこにあるかを探します(写真は2017年のJPCAのファッションイベントで、デモンストレーションをする榊原杏奈さん)。
色は段階的に変化します。
AUTUMNの濃いサーモンピンクからWINTERのフューシャピンクの間には、無限の階調があります。その階調のどの範囲が顔映えするかで得意な色域、つまり「似合う色」がわかります。
色の専門家なら誰でも知っていることですが、従来のパーソナルカラーではそれが「ひとめでわかるツール」がありませんでした。そのため、4シーズンのタイプにあてはまりにくいお客さまが混乱する一因になっていました。
タイプわけはシンプルでわかりやすいし、占いのようなたのしさもあります。でも、人の肌色の変化はもっと微妙で繊細なもの。4シーズンでは大雑把すぎるからと、16タイプ、24タイプと細分化している流派もあります。
ただ、どんなにていねいに分析して細分化しても、分類する限り、必ずタイプとタイプの中間的な人がいて、迷子になる可能性があります。
でも、全体を表した大きな地図の中で「自分はここ!」という位置がわかれば、迷いませんよね。
本来、パーソナルカラーとは“パーソナル”なもの。
タイプは「自分」という1タイプだけです。
それがパーソナルカラーの原点であることを、グラデーションカラースケール®️は再確認させてくれます。
グラデーションカラースケール®️の理論
従来のパーソナルカラー理論では、色の基調をイエローベースとブルーベースの2分類していました。実際には、色は虹のように無限につながっており、イエローベースとブルーベースの中間的な色域が見落とされていたのです。
ここに着目したなかがわさんは、中間的な色域を「ニュートラル」として取り入れたメソッドを確立。その理論をもとに開発されたグラデーションカラースケール®︎はこの診断ツールは商標登録され、特許第5319003号に「パーソナルカラー診断用の診断方法」として特許原簿に登録されています。
グラデーションカラースケール®️は、色の4つの属性別に4種・計6枚(色相=ベースカラーと清濁は2種ずつ、明度、彩度は各々1種)。
本のカバー裏が4種のスケールのうちのベースカラースケールになっています。実物の約1/3ほどのお試し版なので、本を読んで大まかなところがわかったら、実際に診断してもらうことをおすすめします。
もう一度学ぶべきか
どんな手法を使おうと、ベストカラー、ベターカラー、NGカラーを判断できたら、適切な色を選べるということです。カラーリストならパーソナルカラーの不完全さを補いつつ、お客さまへのアドバイスは可能です。再勉強するかどうかは本を読んでから検討されるとよいでしょう。
ただし、これから学ぶ必要がある方は、グラデーションカラースケール®︎一択です。
グラデーションカラースケール®︎を使って得意な色域を判断してから、ベストカラー、ベターカラー、NGカラーを選ぶ際に、既存のドレープを使うので、結果的には4シーズンのトレーニングもできるからです。
念のため、わたしはJPFCAのインストラクターではないので、本診断はぜひ著者のなかがわやすこさんやインストラクターにご依頼ください(ロゴをクリックするとJPFCAのサイトに飛びます)。
この本で唯一残念なのは、ブックデザインそのものはステキだけど、パーソナルカラーの類書と区別がつきにくいところ。書店ではぜひPOPをつけていただきたいところ。
この出版を機に、パーソナルカラーがさらにひろく、かつ有効活用されることを願ってやみません。
では、本日もアドバンストな1日を。
グラデーションカラースケール®️について、もうすこしくわしく知りたいかたは、こちらの動画をどうぞ。