人生は、クリエイティブ・ディレクション:50代からの「おしゃれの学校」

『宗教と哲学全史』出版記念:出口治明さん講演会に参加しました

世界初のインターネット生保会社、ライフネット生命の創業者で、現在、APU(立命館アジア太平洋大学)の学長である出口治明さんの新刊『哲学と宗教全史』が出版されました。その記念講演会が紀伊国屋梅田本店の主催で開催されたので参加してきました。




出口さんの著書は、『仕事に効く教養としての「世界史」』シリーズ以来のファンです。新刊が出ると、なるべく読むようにしていますが、正直なかなか追いつきません。読書家の出口さんの著書は、それ自体がとてもすぐれたブックガイドでもあります。著書で紹介された本を併読していると、そのうちに新刊が続々出てしまうのです。

わたしも子どもの頃からの本の虫でした。小・中学では、校内の図書館の本はあらかた読んでしまったところは、出口さんとおなじです。中学・高校では司書の先生に許されて、“内緒で”書庫にしまってある本を読ませてもらっていました。

社会人になると、仕事に関するものを読むことが多くなりました。読書以外に趣味もひろがりましたが、やはり読書はわたしにとって趣味の王さまです。出口さんの本を読んでいてたのしいのは、本の内容はもちろん、ご本人の「気合の入った本好き度」が伝わってくるところです。読書は、自分の頭で考える力をを養うこと、古典を読もう、速読はしないといった本に向かう姿勢は、書庫で読書に没頭していた頃を思い出し、初心に帰ります。

いつか直接お話を伺う機会があればいいなとおもっていましたが、ようやく実現しました。

 

細分化が進みすぎた現代

新刊は「哲学と宗教」がテーマ。
未読の人も多いだろうからと、本の内容より、なぜこのテーマで書いたのか、いま、哲学と宗教を学ぶことに、どんな意味があるのか、といった話題が中心でした。


この数年、書店では「教養と哲学書ブーム」が続いています。あくまで私見ですが、2014年2月に出口さんの『ビジネスに効く教養としての世界史』が出て、4月に池上彰さんの『おとなの教養』『池上彰の教養のススメ』が出版されたあたりが起点ではないかと思っています。つまり、この3冊は、ほぼ同時期に執筆・編集作業が進められていたものと考えられます。




ちなみに池上さんが東京工業大学の学内共同研究教育施設・リベラルアーツセンターの専任教授に着任されたのが2012年2月。タイミングとしては合うような気がします。


講演会が始まる前、紀伊国屋の担当者の方が、「日本で『哲学と宗教全史』が書けるのは出口先生だけ。なぜなら、日本には「〜教」や「〜哲学」の専門家は大勢いるけど、すべてを網羅して話せるのは出口先生だけだから」というお話をされました。

出口さんも講演で、いまの日本の状況は専門分化が進みすぎたために、全体をとらえることが苦手な人が増えているのではないか、とおっしゃっていました。この全体をとらえる力こそ、教養、つまりリベラルアーツを通して学ぶべきことです。

ビジネスの現場でも、専門分化が進んで硬直した企業や組織には、部門を超えて横串を通す必要があるという意見が出るようになっています。その際に必要なのが全体をとらえる力ですが、近年の学校教育ではリベラルアーツは「実用的ではない」と軽視されてきました。その反動が、このところの哲学・教養“書”ブームの背景にあるのではないかというのが、わたしの見立てです。


とはいえ、哲学や教養は簡単に身につくものではありません。いま、書店には哲学書や古典文学のエッセンスをコンパクトにまとめた本が山積みされています。そうした手引書を数冊読んだからといって、得られるのは本物の教養ではありません。

出口さんも人生を豊かにするのは「人・本・旅」と繰り返し話されています。でも「おすすめの旅先はどこですか」という質問には「ひとつやふたつ、おすすめの場所に行って身につくような簡単なものではないでしょう。すこしずつ積み重ねていくことが大事なんです(大意)」。

教養にインスタントはありません。積み重ねていくからこそ、その人独自の視点が加わって哲学がうまれます。


では、いま書店で山積みになっている教養ガイドブックが役に立たないかというと、そうではありません。なにから手をつけていいかわからない人は、興味のあるものを見つける検索インデックスにすればいいんです。

下手なガイドブックを読むなら、出口さんの著作をおすすめします。最近、再刊された『本の「使い方」』は、書籍ガイドとしても、読み方の注意書きとしても役立ちます。わたしもそのように活用しています。


ほとんどの悩みは「無知」と「自己中」が原因

わたしも本好きなので、フリーランスになってからは、ビジネス書や自己啓発書をよく読んでいました。でも近頃、その手の本は実務書以外、ほとんど読んでいません。

そうした本を読んでいるときにふと気づいたからです。ここに書かれてあることは、昔、読んだ古典の寄せ集めか焼き直しだと。
それでオリジナルになっていればいいけど、引用元を間違っていたり、真意が薄まっていたり。著者が自分の結論と主張することも、過去に哲学者や心理学者がすでに答えを出しているではないか、と。

だったら原典を読み直したほうがいいじゃん。


現代は「スピード」「結果」「わかりやすさ」が求められていて、書店でもそういう本が人気です。でも、そこに集中しすぎたために、枝葉の表面ばかりを見て、根元から伸びた木の全体像がわからなくなっている人が増えているとしたら皮肉なことです。「スピード」も「結果」も「わかりやすさ」も大事ですが、本質的なことを見落としてしまっては解決が遠のくだけ。

わたしだって自分の悩みは「特別」です。そういう自己中心的な感情にとらわれて、手っ取り早い解決法を探していました。ぶっちゃけ、勉強を怠っていたと反省しました。「あー、自分が“悩み”だと思っていることは、単に不勉強で解決策を知らないだけだった」と、講演を聴きながら改めて感じました。



出口さんは予想よりずっとおだやかで、ゆったりとしたお話しぶりがとても印象的でした。

現在の三重県津市のご出身で、京大卒。ところどころ関西弁がまじります。質疑応答になると「めっちゃ」「めちゃめちゃ」が多いところがほほえましく、5回くらいまで数えましたが、お話がたのしくなり、最終的にはわからなくなりました(笑)。

2時間半ほど立ちっぱなしだったはずですが、疲れたそぶりも見せず、背筋がシャンとして、まさにはたらくシニア世代のお手本です。
今回の質疑応答のなかにも超高齢化社会に対する不安を口にされる方がいらっしゃいました。わたしは日本の国語辞典から「老後」という単語がなくなればいいと思っています。いや、「老後=死後の世界」になればいい。出口さんのようなロールモデルの活躍こそ、次の世代へのエールです。

71歳になった出口さんですが、いまが人生でいちばん忙しいとか。しまった、質疑応答で健康法を聞けばよかったな。しょうがない、次回の楽しみにとっておくことにします。


足元にも及びませんが、わたしもこれから日本女性の認識を「還暦=赤いドレス」に変えていくために、行動していきます。そのための元気と勇気をもらった講演でもありました。


では、本日もアドバンストな1日を。


 

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