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負けるが勝っちゃん〜『いだてん〜東京オリムピック噺〜』第29回 夢のカリフォルニア

大河ドラマ『いだてん』ブログをお送りしています。

第29回、日本選手団はカリフォルニアへ。中途半端な英語力のおかげで、逆風のアウェーにあって、なにごともポジティブに変換するまーちゃん(笑)。そして出場する選手を決める最終選考会で下した判断は…。


<あらすじ>
いよいよロサンゼルスオリンピックが開幕。日本水泳チームの総監督として現地に乗り込んだ田畑政治(阿部サダヲ)は、広大で美しい選手村で各国の選手たちが交流する姿を見て、これぞスポーツの理想郷と感激するが、その一方で日系人差別も目の当たりにするなど複雑な思いも抱く。全種目制覇を絶対の目標とする田畑は、本戦に出場するメンバー選びで非情な判断を下し、高石勝男(斎藤 工)ら選手との間に軋轢あつれきを生む。田畑の執念は実を結ぶのか──。NHK公式サイトより)

 

鶴さんと勝っちゃんの明暗

アスリートには勝敗とか記録というわかりやすい指針があります。だから、全盛期を過ぎると素人目にもわかる。

前回オリンピックで銀と銅を獲っている勝っちゃんこと高石勝男は、選手としてのピークが過ぎてしまったことを誰よりも本人がわかっています。いや、いまだってそこそこいけるけど、それ以上に若い後輩たちの成長ぶりが著しい。優秀な人だからこそ、優秀な他人の才能がわかる。もう歯が立たないんですよね。

メダルにこだわるまーちゃんと選手の間に漂うイヤ〜な空気。「勝って数日でもいいから日本を明るくしたい」という想いをNHKドラマ名物・立ち聞きで知った勝っちゃんは、最終選考会で圧倒的な差を見せつけられ、清々しく散ります。まーちゃんも最後は「行けー!勝っちゃん、行けー!」と思わず応援してしまう。

一方、勝っちゃんと一緒に深夜練習をしていた鶴田選手は、最年長の29歳。勝っちゃんよりさらに3歳年上でした。かませ犬どころか(次回のネタバレになりますが、まあ史実としてわかってることなので)、まさかの2大会連続金メダルを獲得。遅咲きだったんですよね。選手ってそれぞれにピークのタイミングも違うし、選手寿命も違う。ちなみに、日本水泳界で2大会連続金は、鶴田選手と北島康介選手だけです。いかに偉業か、わかります。

勝っちゃんと鶴さん、ふたりのコントラストがくっきり。成績以上に残酷な面もあるのがスポーツです。

ただ、アスリートとして引退しても、人生は終わったわけじゃない。それからの勝っちゃんは後進の育成に力を入れ、スポーツ科学の導入に尽力。あー、なんかそうなりそうな頭脳派で戦略的な一面が今回描かれてましたよね。
また、愛されキャラだったことも事実のようで、亡くなられたときはわたしも泳いだことのある大阪扇町プールで盛大な日本水泳連盟葬がおこなわれ、全国から3,000名以上が参列。ドラマにも登場した鶴さんや宮崎選手、前畑秀子さんも駆けつけ、1932年ロスオリンピックの応援歌『走れ大地を』で送られたそうです。1932年のロスの想いに、みんなで応えようとしたんでしょうね。

ベタなようですが、ロスの選考会では負けたけど、人生には勝ったんですね、勝っちゃんは。

 

振袖は最強の勝負服

女子選手が親善大使として活躍したようですが、そこに振袖がひと役買っていたことは見逃せません。インターナショナルな席で、最上級のフォーマルドレスはなんといっても民族衣装。日本なら着物、独身女性が多いであろう若いアスリートたちなら振袖一択です。さぞかしモテモテだったことでしょう。



これは現代も変わりません。もし外国人が大勢集まるフォーマルパーティに招待されて、タキシードやイブニングドレスの着こなしに自信がなければ、着物で出かけることです。間違いなく褒めちぎられます。

オスカーやゴールデングローブ賞でも、民族衣装のゲストにはどんなに辛口のファッション評論家も絶対に悪口は書きません。たしか大島渚監督がカンヌに招かれたとき、ご夫婦で和服だったと記憶していますが、そのときも絶賛されていました。民族衣装には、その国の文化に対して最大のリスペクトが払われるのです。


未来を予測する最も確実な方法は、それを発明すること

パーソナル・コンピュータの父と呼ばれるアラン・ケイのこの言葉が好きです。なんだか小難しいことを言ってるようだけど、これってスピリチュアルの人が言う「引き寄せ」ですよね。

とはいっても「願いを書けば叶う」みたいな安易な発想は嫌いです。「書いたから叶う」のではなくて、そのために「行動したから叶う」んです。

まーちゃんが託していった号外は、来週、現実となります。願いを叶えるために、具体的などんなことをしたかが今週までにたっぷり描かれています。「夢じゃない、実現するんだ」と言うシーンがありましたね。書くことは目標(ゴール)を明確にするため、どんな未来を発明するのか、具体的にするためです。「引き寄せ」したい人は、まーちゃんに学ぶといいぞ。


今回のタイトル/夢のカリフォルニア

今回も演出がとても凝っていて、オープニングはミュージカル仕立て。初めてのオリンピック村、選手たちの国際交流など、理想郷としてのカリフォルニアの姿が描かれました。まさに“夢のような”カリフォルニア。



この曲は、カリフォルニアの州歌(公式ソング)“I Love You, California”です。なので、今回のタイトルナンバーはこっちじゃなくて…。

『夢のカリフォルニア』って、タイトルのわりに暗い歌なんですよね。
落ち着いて考えればわかることですが、“夢の”ということは、誰かがカリフォルニアではない場所でカリフォルニアを夢に見ているわけです。実際、この曲はニューヨークで書かれました。歌詞をめちゃくちゃ要約すると、「灰色の空の下、こんな冬の日にはカリフォリニアを夢に見るよ」。現地は夏ですらありません。オリンピックならむしろ冬季がふさわしいくらいの。

オリジナルは1965年にヒットしたママス&パパスの曲。youtubeにはオフィシャルがないので、シーアのカバーをリンクしておきます。こっちも本家以上に暗いわー。


ベテランと若手、選ばれる人と引退する人、日系人と日本人、アメリカ人と日本人。西洋文化と東洋文化。
さまざまな要素がただ対立するだけではない描き方をしているところが、ドラマに陰影を与えています。


次回は『黄金狂時代』、このタイトルはチャップリン1925年の名作からですね。
ネタが尽きない『いだてん』、次回もたのしみです!


参考:IDATEN倶楽部:ロサンゼルスオリンピック スペシャルハイライトvol.1

※タイトル画像キャプチャ:NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』公式サイト

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