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京都プラチナコレクション2019 インタビュー:主催者・山岸加代さん

何歳になっても可能性があることに気づいてほしい


9月16日、初開催となる「京都プラチナ・コレクション」。ただ服を見せるだけのファッションショーではありません。モデルを務めるのは、25歳から80代までの幅広い年代、体型、ライフスタイルもさまざまな一般女性。主催者である山岸加代さんのウォーキングレッスンの生徒さんたちと、このショーの主旨に賛同してくださったみなさんです。それは「100歳時代のいま、これから、歳を重ねることをもっと前向きに考えたい」ということ。ファッションショーの主催に初めて挑戦する山岸加代さんに、その意気込みを伺いました。

 

京都が輝けば、日本が輝く。
プラチナ世代が輝けば、すべての世代が輝く。


ーー京都でショーをやろうと思った理由は。

山岸加代さん(以下、山岸)「京都はわたしのうまれた街なんです。おじいちゃん、おばあちゃんが多くてね。うちの母が住んでる辺りなんて、シルバーロードって呼んでるくらい(笑)。

だから、まずは「京都を元気にしたい!」という想いがあって。京都は世界中に知られてるし、京都が元気になれば日本も元気になるんじゃないかと思うんですよ。

42年間、世界の女性を見てきたけど、海外では高齢の人でも赤い服を着てはるんです。あれは素敵やと思う。超高齢化社会の日本も、人生の大先輩であるプラチナ世代が輝いたら、すべての世代を励ますことができるんじゃないかと考えました。

会場の国際交流会館には、30年前から世界中の新聞を置いてる図書館があってね。日本に住んでいる外国人がよく来るんだけど、日本人には意外と知られてないんです。世界に向けて開かれたところだから、いい「気」を感じるしね。ここからなら、いい発信ができると思いました」



ーー加代さんのキャッチフレーズは「人生、後半戦がおもしろい」ですが、そう考えるようになったきっかけは?

山岸「ひとつは、外国と接点が多かったからかな…。

外国といってもとくにフィンランドだけど、女性がはたらくのはあたりまえなんですよ。日本では60代で現役だと「元気ね」「まだ飛んでるの?」って言われたりするけど、フィンランドでは年齢の高い人がはたらくのはふつうのこと。うちの会社も、20代から60代まで働いてます。みんな同じ制服を着てね。
それが全然違和感ないって、すごいことだと思うんです。むしろキャリアもあって、その自信が内面的な魅力になるせいか、年齢の高い人の方が制服が似合っていてね。

そういうのをずっと見てきたからかなと思います。


もうひとつは、CAの面接官に「年齢より老けて見えますね」と言われたのがショックだったこと。そのとき心に誓ったんですよ、「20代は諦めた! 私の勝負は年いってからや! 若返ってやる!」って。

中毒になるほどスポーツクラブにも通ったけど、もともと骨格がしっかりしているから、どんどんマッチョになってくるんですよ。

それが40代の後半でコンディショニングメソッドに出会ってね。日常のウォーキングにコンディショニングを取り入れると、猫背が改善して、「姿勢が良くなったね」「若返ったね」と言われるようになりました。
気がつくと便秘は治るし、スポーツクラブでは凹まなかったお腹もペタンコ。姿勢がよくなると、体調もよくなり、気持ちも前向きになりました。

こんないいことを、ひとり占めするのはもったいないと思って、6年前からコンディショニングメソッドで身体を整えながら、姿勢よく歩くウォーキングレッスンをしています。

じつは人生で初めて逆上がりや逆立ちやサーフィンができたのも、ビーチでビキニを着たのも50歳を過ぎてからです。後半戦に入ってから、人生が楽しくなってきました。わたしのモットーは、わたしの体験そのままなんです。


自分の「きれい」は自分で決める。


ーー加代さんが考える「魅力」、「きれい」とはどういうものですか。

山岸「ファッションモデルみたいなきれいさではなくて、その人が持っている最大限のきれいさに近づこうとすることがきれいになる道だと思います。

ふつうの人が大勢の前でウォーキングを見てもらうなんて、すごく勇気のいることです。
でもその経験を通して、自分の殻を破れたら、「ちょっと太ってるし、お尻も大きいけど、わたし、イケるやん」って思えるようになります。いまのままの自分に「大丈夫!」っていう自信をもてると思うんですよ。

日本には「やせてないと!」とか「9号でないと!」って思ってる人が多いですよね。うちの会社の制服はサイズもデザインのバリエーションもたくさんあるんです。ワンピースもパンツ、チュニックもあって、好きなものを選べる。「これでないとあかん!」というステレオタイプのようなものがないのね。人それぞれの、いろんな「きれい」がある。だから、太ってることがいいことだとは言わないけど、やせてることがいいとも思わないですね。


最初のレッスンでは、わたしは生徒さんに必ず「どういうふうに歩きたい?」「どんなふうになりたい?」って聞くんですよ。その人がどうなりたいかは、その人にしかわからないでしょう?

わたしはひとつの例ではあるけど、完璧じゃないし、みんな一人ひとり違うから。

生徒さんが歩いているところをビデオに撮って見てもらうんだけど、わたしは「ここが悪い」とは言いません。ただ、生徒さんがめざしている理想とビデオの間にギャップがあれば、それを埋めるアドバイスをしています」

ーーいろんな「きれい」があって、それは自分で決めればいいということですね。

山岸「そうです。わたし、16歳のときにアメリカに1年留学したんですよ。小学生のころから身長が160cmあって、ずっとLサイズだったのに、アメリカに行ったらスモールサイズだった(笑)。

ただでさえ大柄だったのに、アメリカ生活で10キロも太ってね。持っていったブラジャーはきつくなるし、デニムは太ももから上がってこなくなるし。老け顔がすごいコンプレックスだったのに、アメリカ人のボーイフレンドは”You are Beautiful!”と絶賛してくれたんですよ。「きみの、ゆで卵に線を描いたような目がきれい」とまで言われて、もうびっくり! 「世の中にはいろんな価値観があるんやな~」と初めて気づいたんです。

そんなことがあって「これでないとあかん!」っていう縛りが、わたしの中からどんどん外れて行ったんですね。

それが原点かな。

だから、いろんな人にランウェイを歩いてもらいたかったんですよ。歩く人には自分の「きれい」に気づいて自信を持ってほしいし、お客さまにはいろんな「きれい」を見てもらえたらと思ってます。




自分を大事にするから自信が持てる。


ーーパリでもニューヨークでもモデルのダイバーシティ化が進んでいて、体型や年齢や性別の縛りが外れてきています。これからは多様な美が受け入れられる方向に行くと思いますが、日本はまだ少し時間がかかりそうです。

山岸「たしかに日本人は「みんな一緒が安心」なところがありますよね。でも、自分を大事にすることがいちばんですよ。自分のことが好きで、自分を大事にしていると自信がついてくると思う。

今度、コシノヒロコさんのファッションショーに出演するんですけど(※注)、コシノさんもモデルさんというのは背が高くて細くてというのを取っ払いたいというのがあって、一般人からモデルを募集したみたいです。そういうふうにシフトしてきてるんですね。

この間の衣装合わせには、もちろんモデルっぽい人もいたけど、太ってる人、背の低い人と、いろんな人がいました。どういう基準で選んではるのかわからないけど、コシノさんから「自分に自信をもってほしい」というメッセージがあって、わたしもショーの日をたのしみにしています。

コシノヒロコさんのファッションショー“Get Your Style”でランウェイを歩く加代さん(今年6月30日)。

ーーコシノさんのショーの体験も今回に活かせそうですね。『京都プラチナコレクション』では、お客さまには、どんなところを見てほしいですか。

山岸「出演するメンバーの姿を見て、「来年はわたしも出たいな!」って思ってもらえたらいいですね。

このショーに関わるすべての人に、自分にも可能性があると気づいてもらえる、そのきっかけになったらうれしいです」

 

――ありがとうございました

※注:このインタビューはコシノヒロコさんのファッションショーが開催される前(6月19日)に、京都国際交流会館にて行いました。


【山岸加代プロフィール】1961年、京都生まれ。16歳の海外留学を機に、日本の常識にとらわれないグローバルな生き方にふれ、CAをめざすも30回以上不合格。あきらめずに挑戦を続け、外資系航空会社に採用される。パキスタン航空を経てフィンランド航空へ、今年で乗務37年め。自身の外見コンプレックスをコンディショニングと姿勢改善ウォーキングで克服。そのメソッドを6年前から教えるようになり、指導した生徒はのべ2000名以上。その体験をメソッドにしたオリジナルセミナーで2019年「セミナーコンテストグランプリ」で優勝。プラチナ世代が輝く社会をめざして、京都・奈良・大阪を中心に講演活動も行っている。

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