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韋駄天〜『いだてん〜東京オリムピック噺〜』第24回 種まく人

大河ドラマ『いだてん』ブログをお送りしています。 


第24回、金栗四三編最終回。

東京を壊滅させた関東大震災。
四三は4年ぶりに熊本に帰郷するが、義母の幾江に一喝される。

東京に戻った四三は、熊本からの救援物資を背負って都内を駆け巡る。
「ご馳走」を届けるために走りに走った神・韋駄天のように。

<あらすじ>
関東大震災により、東京は壊滅状態に。治五郎(役所広司)が作った神宮外苑競技場は避難所として人びとを受け入れ、そこで富江(黒島結菜)ら女学生が傷ついた人びとの救済に尽力する。四三(中村勘九郎)は心配する熊本のスヤ(綾瀬はるか)や幾江(大竹しのぶ)の元にも僅かな時間帰省。援助物資として食料を譲り受けるなか、神宮で復興運動会を開催し、スポーツで人びとを元気づけるアイデアを思いつく。そして「復興節」の歌がはやり、孝蔵の落語が疲れ切った人びとに笑いをもたらす。(NHK公式サイトより)

 

今年、大河ドラマがオンエアされる前に、NHKの人気クイズバラエティ『チコちゃんに叱られる!』とコラボしたんですよね。
そのなかでたしか「ごちそうさまってなに?」っていう問題があって。

答えは、「ごちそうさまは、“韋駄天さま”」でした。

韋駄天さまとはもともとバラモンの神々のひとり。
お釈迦様が亡くなられたとき、鬼がその歯を盗み、足の速い韋駄天が追いかけてあっという間につかまえたという伝説があるんですね。
それで、足の速い人のことを、韋駄天と呼ぶようになりました。

韋駄天は、お釈迦さまや仏弟子のために、ほうぼうから食事を駆け回って集めたともいわれています。
「ご馳走」の「馳走」とは、早く馳け、走るという意味で、韋駄天に対し、人々が感謝をこめて「韋駄天さま」とお礼を言ったことが「ごちそうさま」に転じたそうです。

関東大震災で救難物資を背負って東京中を駆け巡り、金栗四三編の最終話で、四三はほんとうの「韋駄天」になったわけですね。

しかも、これまで日本橋ですれ違っただけだった孝蔵とついに言葉をかわし、錯綜していたふたりの人生が初めてつながります。  

四三の成長は、彼自身のたゆまぬ努力とそれを支えた人々の応援があってこそ。
とくに今回は義母である幾江さんの気風のよさが、四三の臆病風を吹き飛ばします。

「ぬしは韋駄天がなんの神さまか知らんとか? 人々んために走って、食いもんば集めて運んだ神さまたい!」


最初からこういうオチだったのかしら。 「チコちゃんは知っています」でしたねぇ。




いつも月曜にアップする『いだてん』ブログですが、今回は遅れました。
仕事が忙しいのも理由のひとつですが、じつはシマちゃんが震災で亡くなったであろうことがショックで…。

シマちゃんは、女子体育に貢献した四三と日本人女性初のオリンピック選手・人見絹枝を結びつけるためにうまれた、ドラマオリジナルのキャラクター。
四三と人見絹枝は同時代を生きた人物で、なんらかの交流があったのではと考えられますが、記録は残っていません。

そのため、ふたりをつなぐのはどんな人物か、逆算した結果なんだそうです。
復興運動会で、シマちゃんの姿が見えたかのような増野さん。

…『コールドケース』のような(笑)。




で、シマちゃんロスに泣くわたくしのようなみなさんに朗報(ネタバレ)!

シマちゃんの娘で五りんの母、りくさんは、その後、シマちゃんそっくりに成長し、四三を驚かせるシーンがあるそうです。

ということは杉咲花、再登場か!  


視聴率なんか「くそったれ!」


第1部最終回のプロモーションが少しは効いたのか、今週の視聴率は0.9ポイント上がって7.8%。

大河ドラマの最低視聴率記録を更新、数字の上では苦労しているようです。
でも、わたしのまわりでこのドラマを悪く言う人っていないんですよね。
いや、むしろ見ている人は絶賛しています。

そりゃそうでしょう、おもしろくない人が早々に離脱したゆえにこの結果。
おそらく「ぼーっとこのドラマを見ている人はいない」のでしょう。

視聴率はもっとも低いかもしれないけど、視聴者はもっとも熱いんじゃないのかな。
こんなニュースも↓。

NHKも困惑『いだてん』大河史上ワースト視聴率でも高評価溢れる“逆転現象”の珍事:ビジネスジャーナル(2019年6月25日 19:10)


毎回録画して観た大河は『真田丸』以来。

『真田丸』も最終回以外は消去したけど、これはBDに保存しています。
ブログまで毎週書いてる(笑)。



わたしはいわゆる大河ファンではなく、毎年、観ているわけではありません。
テーマや脚本や原作で選んで観ています。

前作の『西郷どん』は渡辺謙が出なくなってからさっぱりおもしろくなくなり、離脱しました。
わたしにとって『西郷どん』は『斉彬どん』でした。


個人的には、森山未來とビートたけしが同一人物におもえないことが唯一の違和感。
どちらもそれぞれいいんだけど、タイプが違うので重ならない。

りんさんが、夏帆→池波志乃とすんなりつながるだけに。

未来なのに「過去」の志ん生を演じてるからか(違)。

時代が変わってるんだから(くしくも次回のタイトルですが)、大河ドラマだって変わって当たり前。

エミー賞とか海外の賞に出品すればいいのに。

再放送はぜひ、いま金曜夜にやってる『This Is Us』の後枠で。
時代がいったりきたりして、登場人物がやたら多い作品を見慣れてるから、なんの抵抗感もないはず。


SNSでは、20話以降、「神回連発」で盛り上がっていますが、視聴率は冷たい。
だけどもうテレビは娯楽の王様なんかじゃない。

視聴率なんか「くそったれ!」
これからもいい作品を期待してます。  

 

【今回のタイトル:種まく人】

ジャン=フランソワ・ミレーの代表作。

読書家なら、どこかで見たことがあるでしょう。
岩波文庫のシンボルマークの元ネタです。

ミレーの『種まく人』は、新約聖書のマタイ13、ヨハネ12をモチーフにしたといわれています。

ミレー 種まく人 1850年


種まく人は、イエス・キリストであり、種は聖書であり、神の言葉の暗喩。

つまり、この作品は宗教画なんですね。
それはこの作品に触発されて描かれた、ゴッホによる『種まく人』にも受け継がれています。

「神の言葉の種播く人」 ———– 僕はそれになりたいと思っているのだが ———– にとっては、畑で麦の種を播く人の場合と同じく、毎日がその日その日、多くの悪しきものをもたらすだろう。大地は様々な茨や薊を生み出すだろう。(ゴッホ 書簡93:1877年4月)


ゴッホは『種まく人』を10枚ほど描いています。
なかでも有名なのが、アルル時代の2枚。

夕日の圧倒的な眩しさを描きこんだ『種まく人』。
人物よりも背景にミレーとは対照的な生命力と躍動感が強い筆致からうかがえます。

ゴッホ 種まく人 1888年


その少し後に発表された下の作品は、2017年の『ゴッホ展――巡りゆく日本の夢』にも出品されました。

 

ゴッホ 種まく人 1888年


ゴッホが愛した歌川広重の『亀戸梅屋舗』とのコラージュを独自のタッチと世界観で描いたもの。
構図も大胆で、浮世絵からの強い影響を感じます。

ミレーの『種まく人』は、絵そのものがわかりやすい「暗喩」です。
ゴッホは遠景を描くことで、少し引いて「神の創った世界」を描こうとしたように感じます。

そのチャレンジはさらに進んで、異質なものをひとつの画面のなかで融合させようとします。
ミレーは神を描こうとしましたが、ゴッホの作品からは神の力を感じる人間の芸術性を感じます。 彼はこんな手紙を残しています。

習作を作ることは種を播くことだと思うし、絵画の制作は収穫だと思う。(ゴッホ 書簡233:1882年9月)


前回のタイトルが『大地』でした。
大きく揺れた大地に、人生を大きく揺さぶられた人間たちが描かれました。

荒廃した大地からスポーツの歓びが芽吹いた今回の『種まく人』。
それは四三だけをさすのではなく、日本にスポーツを根付かせるために生きたすべての人々のことだとおもいます。

もちろん、シマちゃんのような名もなき人も含めて。

次回から第二部がスタート。
なかなか世界で勝てなかった四三と日本陸上ですが、第二部は日本が水泳大国になっていく過程が描かれます。

負けるところより勝つところが見たい人は、たのしくなるんじゃないでしょうか。

とはいえ大事なことなので、もう一度言いますが、視聴率なんか「くそったれ!」


ネタが尽きない『いだてん』、次回もたのしみです。
では、本日もアドバンストな1日を。

※参考:フィンセント・ファン・ゴッホ、「耕す人」:有川治男  (ウェブライブラリー 美術史学専攻/初出:『人文』、第3号、学習院大学人文科学研究所、2004年、pp.5-44)


※タイトル画像キャプチャ:NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』公式サイト

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