画像キャプチャ:NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』公式サイト
大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』が始まりました。
タイトルロゴが横尾忠則、脚本が宮藤官九郎と、制作スタッフが『あまちゃん』チーム。わたしの大好きな人たちなので、期待してます。
<あらすじ>
1959年、五輪招致目前の東京。大渋滞の日本橋を通りかかった落語家の古今亭志ん生(ビートたけし)は寄席に向かっていた。その日、高座で志ん生が語り出したのは、50年前の日本のオリンピック初参加にまつわる噺(はなし)。1909年、柔道の創始者、嘉納治五郎(役所広司)はストックホルム大会を目指して悪戦苦闘していた。スポーツという言葉すら知られていない時代。初めての派遣選手をどう選ぶか。日本オリンピック史の1ページ目を飾る物語。(NHK公式サイトより)
『いだてん』は、日本が近代オリンピックに初参加し、アジア初開催に至るまでの物語。それで、わたくしのセンサーがピピピと反応。
オリンピックなんて概念がなかった人たちに、それを知らしめて、参加してもらい、国に誘致する。
こんなとき、なにが必要かわかります?
考える時間30秒!
いいですか?
・
・
・
・
・
・
正解は啓蒙活動です。
知らないことを知ってもらうための活動。
英語では“information campaign”ーインフォメーション・キャンペーン。
あらー、これって新しいジャンルの仕事を始めた人や世の中にないものを作ろうとしている人なら、みんな必要としてることですよね。だって、買ってもらうためには、存在を知ってもらわないといけないもんね!
知ってもらうためにはどんなことをしますか?
いろんなことが考えられますね。
そのひとつがドラマにも出てきましたよ。
そうプレゼンです!
フランス大使が、嘉納治五郎にオリンピックのポスターを見せました。これ↓。
画像出典:wikipedia
1912年、ストックホルム大会の公式ポスターです(画像はパブリックドメイン)。
参加を辞退するつもりだった治五郎さんの気がコロッと変わっちゃったのは、ポスターに描かれた日の丸!のせいでした。あのポスターを見た瞬間に、治五郎さんの脳内には、欧米列強と互角に戦う日本人選手の晴れ姿がくっきりとイメージできたのです。設計図で見たスタジアムにはためく日の丸。観衆の大声援も聞こえたかもしれません。
そう、見る人のアタマのなかに「こうだったらいいなというイメージ」をありありと描かせる。それができればプレゼンは大成功!
ここでフランス大使がポスターを見せたのは、大きな意味があります。人を説得するときはどうしますか。言葉を使いますよね。
でも、治五郎さんとフランス大使は通訳がいるとはいえ、母語が違います。微妙なニュアンスを伝えるのは難しい。でも、ビジュアルなら一発ですべて伝わります。
ストックホルム大会のポスターはカラーでした。いまなら珍しくもありませんが、当時、写真はまだ白黒です。着色されたポスターは、かなりのインパクトがあったはず。たとえ日の丸が描かれていても、もし白黒だったら、治五郎さんの心をわしづかみにはできなかったでしょう。
百万語費やすことなく、1秒で理解させる。
ビジュアルは言葉より速い!
まさに、いだてんの如し!
言葉ではダメだと言っているのではありません。状況によっては、言葉よりビジュアルで伝えた方が効率いいときがあるのです。それぞれの特徴を知り、目的、状況にふさわしいプレゼンを自由自在におこなえるのが達人なのですね。
もちろん、これはドラマなのでほんとうのところはわかりません。でも、プレゼンにおけるビジュアルの説得力がきっちりと描かれた第1回でした。
初回はまだ導入でしたが、平成も終わりつつあるいま、明治もすっかり過去の歴史ですね。明治くらいだとわたしたち世代には祖父母世代から聞いた話の記憶があったりして、江戸時代以前より親近感がある。この時代の人をもっととりあげてくれるといいな。
天狗倶楽部、いいですねぇ、明治時代のスポーツコミュニティ。ドラマとはいえ、創作にもほどがあると思ったら、実在したとは。“TNG”のアルファベットをデザインしたロゴも実際にあった模様。明治時代に!
『いだてん』には、わたくしの好きそうなものがいっぱい詰まってそうな感じ。ということで、1年がかりでこのドラマを追っかけて、“いま”に通じる情報発信やビジュアル表現について書いていきます。
まだだいぶ先だけど、東京オリンピック誘致のプレゼンやスピーチが楽しみだー。
【今回のタイトル】「夜明け前」
『夜明け前』、つまりまだ本編が始まるまでの、今回は序章ですってことでしょうか。なにしろ、主人公が登場するのは、終了の数分前ですから。通常通りの45分枠ならおさまってませんよ。
これから毎回、「どっかで聞いたことある」タイトルは、古今東西のさまざまな分野の「古典」にちなんだものです。ドラマの舞台が明治なので、明治期の名作シリーズになるのかと思ったのですが、そうではなかったようです。
藤村の『夜明け前』は、わが家にも本がありました。本は読まずに、結局、映画を先に観てしまったのですが。
作者の島崎藤村は、馬籠の出身だそうですね。この作品は書き出しの「木曾路はすべて山の中である」が超有名です。葛城ユキは『木曾は山の中』を書くにあたって、なにかインスパイアされたのかなと思うのですが、いまのところそういう裏話的な逸話は聞いたことがありません(笑)。
コメントを残す