立石剛さんへのインタビュー、最終回です。
今回は、セミナー講師はもちろん、人前に立つ人なら知っておきたい心構えについて。
わたしも自問自答しながらまとめました。
これまでのインタビューはこちらから。
増刷決定。
この本を片手にお読みください。
人として、講師として成長するために
成長するセミナー講師にもっとも必要なこと
―主催者として、グランプリに出場してほしいのはどんな人ですか。
立石 主催者としては、グランプリが終わってからのことを考えます。
目的は「人と社会を輝かせるセミナー講師の輩出」ですから、出場をきっかけに活躍してほしいですね。
その姿に、周囲も希望を感じるわけですから。
グランプリ後も地道に努力して、成長していってくれるとうれしいですし、そう期待します。
―セミナー講師として活躍できるのはどんな人ですか。
立石 セミコンに出場する人たちは、能力的にはほとんど差がありません。
前向きだし、それぞれの業界で経験を積んだ人たちです。
ですから講師に限らず、どんな分野にも共通していますが、どこで差がつくかといえば、やはり人柄だと思います。
とりわけ講師の場合は、素直さが大切です。
素直さとは、ありのままを受け入れる力と言っていいでしょう。
それは、他人が自分に対して言っていることを受け入れることでもあります。
これが案外難しい。

堀江昭佳さん(2016年3月18日、大阪の出版記念講演会にて)
たとえば素直な人の代表が堀江昭佳さんです。
先日の講演会でもそうでしたが、登壇した瞬間に彼は会場の人のすべてを受け入れているんですね。
立っているだけでそれが伝わってきます。
だから彼の言葉は、誰もが素直に受け入れられるんです。
講師とは、言葉を商品として扱う仕事です。
人に自分の言葉を受け入れてもらわないと仕事になりません。
人に受け入れてもらうには、まず、自分から人を受け入れないといけないんです。
また、素直な人は、人一倍、応援される人でもあります。
セミコン卒業後も結果を出し続ける人は、みんな応援され上手ですよね。
ちなみに応援され上手な人は、人一倍、耳の痛いことを聞ける人でもあるんです。
心地よい応援は受け入れるけど、耳の痛い応援をシャットアウトする人は、結果的に誰からも応援されなくなるでしょう。
プロスポーツの世界を見ればわかりますよね。
熱烈なファンほど、応援するチームがふがいない試合をすると手厳しく言うはずです。
心地よい応援と耳の痛い応援は、セットだと思ってください。

第29回セミコン大阪 撮影:かんばやしちあきさん
なぜ、あなたの想いは伝わらないのか
―SKY(講師養成コース)の教えでとても印象に残っていることがあります。
先生は「エゴを捨てろ」とおっしゃいました。
なんらかの伝えたい想いがあるからこそ講師をめざすわけですが、それはある意味で強いエゴなんですよね。
でも、受講生に成果を出してもらうためには、エゴを捨てなければならない。
ここに葛藤がうまれるわけです。
それにどう折り合いをつけていけばいいんでしょうか。
立石 素直さと人間的な器の大きさは比例します。
器は急には大きくなりません。
日々の努力の積み重ねです。
「合う、合わない」を自分で決めてしまわないで、合わないことに対しても受け入れる努力をしていると、影響の輪がひろがっていきます。

「影響の輪」をひろげるとは、スティーブン・R・コヴィーが定義する概念「自分でコントロールできないことではなく、自分でコントロールでき、影響を及ぼすことができることに集中すること」
講師をするということは、難題を抱えた人がつねに目の前にいることなんです。
講師は言葉でやりとりする仕事だから、相手を受け入れると、自分の言葉も受け入れてもらえます。
自分から先に受け入れる―この順番が大事です。
―エゴを捨てるからこそ、想いが伝わるんですね。
立石 講師は受講生の“鏡”ですからね。
「セミコン」のブランド力をアップ
―セミコンが今年10周年を迎えるにあたって、意気ごみをお聞かせください。
立石 節目の年ではありますが、10周年だから「とくになにかしよう」というのではなく、もう一度、原点に立ち返ろうと思っています。
「誰を救うイベントなのか」「なにをたいせつにするイベントなのか」ということです。
来年以降は、わたしがいなくてもセミコンがいい形で運営されていく道筋をつくるのが、自分のなかでのチャレンジです。
そのためにはセミコンブランド、そして日本パーソナルブランド協会のブランド力の強化が課題であると感じています。
いろいろな人が、いろいろな想いを持って開催してしまうと、成り立たないイベントですからね。
さいわい昨年あたりから地方大会が開催されるたびに、ほかの地方のメンバーがオブザーバー参加するなど横のつながりがよくなっています。
それぞれ地域交流が進んでいるのはいいことだと思います。
どの地域にもいいメンバーが揃っていて、お互いに刺激しあっている。
来年はセミコンにとって、さらによい年になるのではないでしょうか。
これからもみんなで同じ方向を向き、足並みを揃えて、人と社会を輝かすセミナー講師が続々と誕生するイベントにしていきたいですね。
野球の甲子園に負けないくらい、セミナー業界の発展、社会の発展にも貢献できるイベントにしていきたいと、本気で考えています。
誰がどう関わっても成長できる
―初めてセミコンに参加されるオブザーバーにメッセージをお願いします。
立石 セミコンがほかのセミナーと違うのは、いろんな職種の人がひとつの空間で一緒に成長できることです。
こういうイベントはあまり例がないでしょう。

セミコン大阪スタッフミーティングにて。左から茜志保さん、細見仁志さん、池上晋翔さん、溝口哲さん、藤塚鉄平さん、立石先生、岩淵都(さかえ)さん
―昨年のセミコングランプリを初めて観た友人が、いろんな職種の人が参加していて驚いていました。
「セミナー講師に対する認識が変わった、自分は講師になりたいとは思わないけれど、誰かになにかを伝えることはできるかもしれない」と言っていました。
立石 そう思ってもらえたらうれしいですね。
自分の可能性に気づいていない人も多いですから。
一般的な講師養成講座は、プロになりたい人が学びに来ます。
SKYやセミコン出身者は、最初はセミナーに興味がなかったり、「わたしなんか無理」と思っていたのに、じつは可能性を秘めていて、のちのち講師として活動していく人が多い。
セミナーをつくり、発表するということが、単に「講師をめざす」以上の価値と意味を持っているからです。
セミナー講師になりたい人はもちろん、自分の可能性を発見したい人に参加してもらいたいですね。
観に来るだけでも得るものがあるし、出場して勝っても負けてもいい経験になります。
誰がどう関わっても得るものがあるのがセミコンですから。
―これからも「人と社会を輝かせるセミナー講師」が続々と誕生することを願っています。
スタッフとしてサポートをおこないながら、わたしもまたその一人になれるように・・・
本日はどうもありがとうございました。
COLUMN:セミコンスタッフとしての想い
―スタッフリーダーとして、どんな取り組みをしていきたいですか。
1.大阪大会を盛り上げること
いちばん大切に考えているのは、出場者のフォローです。
できるだけ対策講座や自主練習会へ顔を出すようにしています。
私も出場したときに先輩スタッフの方々にお世話になりましたが、毎回サポートに来てくださるスタッフの方を見ていて、「がんばろう!」という気持ちになりました。
運営面では毎回スムーズな運営をすることはもちろんですが、グランプリも意識していきたいと思っています。
そのためにスタッフのよい点を見ながら、どのポジションで輝けるかを考えていきます。
2.他地区とのつながりを強くする
他地区のスタッフリーダーとコミュニケーションを取り、大阪だけでなく他地区も盛り上げていけるように考えています。
今回のスタッフリーダーは昨年グランプリに出場したメンバーも多く、ともに苦労をした仲間と次は裏方として盛り上げようと話しています。
最近、東京大会・名古屋大会・広島大会の見学に行ってきました。
ふだんはメールのやりとりが多いのですが、やはり直接会うことの大切さを感じています。
やりとりを交わしながら、来年以降につなげていきたいと思います。
―「セミコンに出て、こう変わった」ということを教えてください。
1.セミナーの聴講姿勢が変わった
これまではセミナーそのものを純粋に受講していただけですが、セミコンに出場してから、テーマや自己紹介、ノウハウなど、自分が講師の立場だったらと置き換えて考えながら受けるようになりました。
2.積極的に参加するようになった
今までは聞くことが中心でしたが、意識的に参加するようになりました。
とくにしっかり反応(リアクション)することは、講師が話しやすい会場の雰囲気づくりになり、結果的に自分がよいセミナーを受けることにつながります。
セミコンに出場して「講師」という立場を経験したからこそ、積極参加の重要性を感じています。
セミコン大阪スタッフリーダー、
セミコングランプリ2015 ファイナリスト/書ムリエ 池上 晋翔
出版を記念して、Amazon&リアル書店キャンペーンを実施中
特典1:人気セミナー講師8名との対談音声プレゼント
特典2:立石剛「出版記念講演会」に優待価格で参加
キャンペーンの詳細とご応募は、こちらから。
好評のため、キャンペーン期間が全国の出版記念講演会終了まで延長になりました(6月予定。
もともとわたし自身が「もっと知りたい」「もっと聞きたい」と思って始めた企画がこの“部室”。
取材する方から毎回、はっとするようなメッセージをたくさんいただいています。
今回はセミナー講師として人前に立つ方にとって、もちろんわたしにとっても深くて重い、そしてちょっと苦い気づきと学びがありました。
次回は、弁理士の福永正也さんが登場。
講師、コーチ、コンサルなどの情報発信ツールとして欠かせないブログの著作権、肖像権など知的財産権について伺います。
人前に立つ人の責務として、正しい知識を学ぶきっかけにしていただければと思います。
どうぞお楽しみに。
では、本日もアドバンストな一日を。
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