『To-y』の上條淳士さんが来阪。

心斎橋『digmeout ART&DINER』でトークライブが開催されました。

 

上條淳士さん(左)と宮脇修一専務

上條淳士さん(左)と宮脇修一専務

 

ディグミーでのトークライブは約2年ぶり、2回めとなります。

今回のゲストは海洋堂の宮脇修一専務。

海洋堂って、フィギュアの企画製造会社ですよね。

宮脇専務は、いわゆる関西のおっさんで、ちょっともっさいけど、言いたいことをズバズバ言って、それが気持ちよく、かつ恨まれないタイプの方(ほめ言葉だからね)。

なので、『To-y』のしゅっとした世界とは、自分とは対極なんだそうです。

まあでも、対極というのに、じつはほんとうは惹かれるものだから。

 

“フィギュア”に該当する日本語がないのは、日本人の美学にないから

宮脇専務は大阪芸大でフィギュアアーツを教えているくらいの方なので、英語でいう“statue(立像)”と“cartoon(漫画)”の対比論がひじょうに新鮮でした。

日本の芸術観には精密で写実的という表現はないんですよね。

浮世絵に代表される、シンプルに簡略化した平面の美。

これは漫画に通じるんですね。

 

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劇画は多少写実的ですが、それでも誇張があります。

なので、フィギュアのように写実的で彫刻的なものは、日本的な美学の歴史からいうと異端なんだそうです。

日本語には“フィギュア”に該当する適切な訳語がありません。

言葉がない、というのは概念がないということですよね。

 

そういわれてみれば、日本の彫刻で代表的なものは弥勒菩薩半伽像のように、ギリシャ、ローマの彫刻に比べるとシンプルな造型に特徴があります。

運慶や快慶などの鎌倉彫刻はもっと写実的ですが、それこそ劇画タッチですよね。

まあ、日本の芸術は文学なら俳句や短歌、美術なら水墨画と煎じ詰めればシンプルの極地。

テクノロジーも大型化するより小型化、コンパクト化するほうが圧倒的に得意です。

 

そういう民族性なのかもしれない。

 

なので、上條さんのような、従来の劇画でも漫画タッチでもない作品は画期的で、宮脇専務にいわせれば、平面なのにフィギュア的な立体感を感じさせる“絵”だったそうです。

 

雰囲気では描いていません

わたしもデザイン学校出身なので、『To-y』に惹かれるのは、やはり絵の魅力に負うところが大きいです。

でも、読み進むうちに絵を支えている世界観にも惹かれていきました。

 

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『To-y』は歌詞や音を表現するような言葉を使わず、絵だけで表現しようとしたことが、その後の音楽漫画の流れを大きく変えました。

質疑応答のなかで、上條さんとしては「こんな音楽」というのを聴きながら描いていたとのこと。

でも、具体的にどんな音楽かは、読者ひとりひとりが思い描けばよく、それが正解なんだそうです。

 

絵については、街の背景はロケハンをおこない、バイクや自動車、楽器、メカ類などは本物を見たり、使って描いていたとのこと。

「雰囲気では描いていません」

きっぱりと。

そこが上條作品のリアルの真骨頂でした。

プロだなー。

 

フライヤー型複製原画

大阪限定のフライヤー型サイン入り複製原画。“帝王切開”のサウンドって、“Dead Kennedys”のイメージです、なんとなく。“To-y”はどうかなぁ・・・日比谷野音は夏は蚊に刺されて大変だった。昨年ジュリーの公演を最後に閉館した渋公は18年再開予定。

 

カッコよさとは、カッコよさについて語らないこと

最後におもしろい質問が。

「上條さんにとって、カッコよさの定義はなんですか」

この答えがよかった。

 

「カッコよさについて語らないこと」

 

語れば語るほど、野暮になるからだそうです。

・・・なるほどねぇ。

 

上條作品は、言葉数が少ないんです。

上條さん自身、決して寡黙というわけじゃないけど、こまかく解説するんじゃなく、読者の想像に委ねるタイプ。

 

そんなところにも通じると感じました。

 

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絵としても余白が多いけど、それはただの白場(ホワイトスペース)ではなく、計算された“間”なんです。

西洋的な写実性と日本的な簡素の美。

上條作品には、絵的にも世界観としてもその両方が備わっている気がします。

 

この30周年で、『To-y』をようやく終わらせることができた、と上條さん。

そろそろ大人のための作品も描いてほしいとファンは秘かに願っています。

 

では、本日もアドバンストな一日を。

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。