なりたい“あなた”をプロデュースするやまだみゆきです。
こんなにブログを書かなかったのは初めてだと思いますが、とってもリア充でした(笑)。
その間にリオ・オリンピックが終わっちゃいました。
ほとんど観ないうちに終わってしまいましたが、ちょっとだけ観た競技の“衣装”について書きます。
美女・イケメンであることより世界観
新体操、シンクロナイズド・スイミングは芸術スポーツといわれます。
ほかにもこの分野の代表的なものとしてフィギュア・スケートがあげられます。
速さとか距離とかではなく、“美”を競うスポーツですね。
美を競うので、ほかのスポーツとは圧倒的な違いがあります。
それは、容姿や外見が重要な要素になることです。
たしかに芸術スポーツにはイケメンや美女が多いですが、フィギュアにはエルヴィス・ストイコみたいな武闘系とかローラン・トベルみたいな超個性派としか言いようのないタイプもいたりして。
あ、わたしはふたりとも大好きですよ!
なので、容姿や外見が採点要素とはいっても(美形にこしたことはないとして)、キャラ立ちというか要は“世界観”なんですね。
ちょっと専門的にいうと“世界観の構築”って、セルフプロデュースの最初の1歩です(もっといえば、ブランディングやプレゼン、企画提案の最初の1歩でもある)。
だからってそんなに難しいことじゃなく、演技のテーマと演技の内容、それを表現する音楽や衣装、メイクなど選手の外見も含め、トータルにコーディネートされてるってことですよ。
たとえば。
日本のシンクロデュエットは、決勝のフリールーティンで“風神雷神”をテーマに演じましたよね(リンク先にNHK動画)。
風神雷神といえば、コレ!

俵屋宗達『風神雷神図』(寛永年間頃、京都市・建仁寺所蔵)画像出典:wikipedia
音楽は太鼓を使った日本調。
雷神といえば太鼓ですからね。
水着も雷神の太鼓に描かれる「三つ巴」紋をモチーフに取り入れたデザイン。
演技も手のひらのグーパーで“阿吽(あうん)”を表現したり、足首を曲げた表現とか、風神雷神図に描かれているようなポーズもありました。
これで音楽がチャイコフスキーのピアノ協奏曲だったら、めっちゃ違和感あるでしょう。
どんなに似合ってカッコよくても水着がシンプルな赤1色だったりすると、競泳の選手かと思っちゃいますよね。
こんなふうに、競技者の見せかたを含め、全体として“風神雷神”を表現してるってことが、芸術スポーツにはすごくたいせつな要素になってるわけです。
ロシアが芸術スポーツに強い理由
スポーツですから、衣装にもルールがあります。
シンクロなら透けないとか、フィギュアなら女子はスカート着用とか。
それに加えて、動きやすいこと、吸湿発汗対策といった機能性。
どこにラインを入れるか、どこで切り替えるかで、演技がよりよく見えたり、脚がより高く上がっているように見えたりするので、単にデザインとしての見栄えが問われるわけじゃないんですね。
世界じゅうに報道されますから、TVうつりも考えているでしょう。
そういった面を各国の指導者はいろいろ配慮しつつ制作してると思います。
日本チームの演技はとっても素晴らしかったと思うのですが、水着はちょっと「ナンダカナー」と複雑な気持ちでTV観戦してました。
わたしはオリンピックでも世界選手権でも、「日本選手の活躍が見たい」というより「最高のものを見たい」という気持ちのほうが強いです。
それはたぶん、自分のなかに“美”に支える者でありたい、“美”を高めていく気持ちに国境はない……という想いがあるからだと思っています。

画像出典:オリンピックオフィシャルサイト(IOC)
そんなわけでシンクロは、チームで優勝したロシアの水着(リンク先にオリンピック公式動画)が、なんといっても素晴らしい(上)。
競技中だけでなく、選手が並んだときも絵になるように計算されているなと感心しました。
身長がほぼおなじなので胸もとにあしらった十字のデザインが効いてますよね。

画像出典:sputnik news
新体操の衣装もロシアチームが印象に残りました(リンク先にオリンピック公式動画)。
とくに上のフープと棍棒の衣装には、ロシアバレエの伝統と文化の影響を強く感じます。
競技の技術面を含め、旧ソ連諸国、とくにロシアが芸術スポーツに強いのはバレエの歴史が強みになっていますよね。
リオ2016の新体操衣装、金メダルは…
日本人とロシア人では体格も髪も肌も違うし、文化的な背景も違うから、おなじアプローチをしてもダメなんです。
スレンダーでつややかな黒髪、陶器のようになめらかな肌。
エキゾチックなアジアンビューティは欧米人にはないミステリアスな魅力があります。
たとえば2006年のトリノ五輪、『トゥーランドット』で金メダルを獲った荒川静香が好例です(トゥーランドット姫は中国の笑わないお姫さま)。
オペラの『トゥーランドット』をイメージさせつつ、荒川さん本人にお似合い(パーソナルカラーはウィンターですね)のロイヤルブルーと淡い水色でコントラストをつけた、この衣装は忘れられないです(演技もね)。

画像出典:オリンピックオフィシャルサイト
今回、ロシア以外では、新体操のイタリアチームのリボンの演技がとても芸術的でした。
イタリアといえばブルー(アズーリ)だし、デザイン大国らしい独創性を感じます。
イタリアチームがリボンで使った曲も、『トゥーランドット』の『誰も寝てはならぬ』(作曲家のプッチーニはイタリア人)。
荒川さんとおなじだけど、イタリア人の解釈だと中国のオリエンタリズムがこんなふうになるんですね。
上の荒川さんの衣装と比べると、競技の違いはあれど視点の差がとてもおもしろいです。
残念ながらギリギリでスペインに逆転され、メダルには届きませんでしたが、個人的には新体操に衣装部門があれば、わたしの金メダルはイタリアにあげたいです。

画像出典:The Teregraph
オリンピックは終わりましたが、もう1ヶ月もすれば、いよいよフィギュアのシーズンが始まります。
わたしの楽しみは競技もだけど、やっぱり衣装だったりします。
では、本日もアドバンストな一日を。
参考記事:曲・水着に創意とワザ シンクロ日本支える2氏に聞く(日本経済新聞)