一度でも来ると、ここが大好きになる。

(フレデリック・ワイズマン監督 映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』より)

 

 

映画でも解説されますが、イギリスの国立美術館、博物館のほとんどは入場無料なんです。

美術館というと、日本では一部の芸術愛好家が静かに鑑賞する場所、みたいなイメージがありませんか。

でも、イギリスに限らず、ヨーロッパの美術館や博物館は、そうじゃないんです。

この映画みたいに、個性的なガイドさんが楽しそうに、でも熱心に、作品を解説してくれる。

それに耳を傾けるお客さんも、お勉強みたいな雰囲気じゃなく、エンターテインメント的に楽しんでる感じ。

小学生くらいの子どもグループについていたガイドさんは、なんだか芸人さんみたいでした。

 

それを見る子どもたちも眼をキラキラさせていて。

 

あと、模写をしているひとがすごく多い。

日曜画家だったり、画学生だったり。

ルーブルはたしか模写が認められている3ヶ月間は、入場が無料だったはず(いまは知らない)。

 

そんなルーブルも来場者向けにいろんな企画を実施していて、

「ナショナル・ギャラリーにも、もっと工夫が必要なのよ!」

と、マーケティング担当は熱弁をふるう。

 

入場無料だからこそ、芸術を啓蒙する使命を感じてるんでしょう。

そこで、ワークショップや成人向けの教育プログラムを開催する。

一方で子ども向けのお話会を企画したり。

美術館を地域のコミュニティにしようとしてるわけですね。

 

ナショナル・ギャラリーほどの美術館だって、真剣にブランディングを考えていることがわかります。

 

ところで、ヨーロッパのサッカーチームには、歴史的に地域コミュニティの役割を担っている面があるんですね。

それが何世代もつづく熱烈なファンが育っている背景だったりします。

おなじような構造をナショナル・ギャラリーがめざす方向に感じました。

 

3時間の長尺には、派手なアクションも華麗なロマンスもありません。

あるのは時代を超越する美をたたえた絵画と芸術を愛する無名の人びとの日常。

でも、そんな彼らの情熱を讃えたくて、この次、ロンドンを訪れたら、ぜったいにナショナル・ギャラリーに行ってみたい!

—そう思わせる作品です。

ところでわたしが初めてヨーロッパで美術館巡りをしたのは、90年代。

当時は「日本の美術館はそこまで開かれてないな、お客さんも育ってないな」と残念に感じたものでした。

 

現在は日本でも地方の美術館を中心に、地域密着型のマーケティング戦略を打ち出すところが増えています。

企業のとの提携やコラボイベントを企画したり。

実際、梅田のシネ・リーブルでは、国立国際美術館の『フィオナ・タン まなざしの詩学』と相互割引のキャンペーンをおこなっていました。

週末の上映は満席になるほど、この映画もヒットしていり模様。

日本の観客もまた、変わってきているのかもしれません。

 

 

参考:イギリスにおける国立博物館の「入場無料」政策の維持と文化 財返還請求をめぐって(JETRO)

映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』オフィシャルサイト

 

 

 

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。