福永正也さんへのインタビュー、最終回です。

 

今回はフリー画像やYouTubeへの埋め込みなどブログを運営していくうえで必須の著作物の扱いについて伺います。

また、ブログとセミナーでは異なる、著作物の扱いについてもふれています。

 

これまでの記事はこちら。

 

福永正也さんに聞く(1)講師、コンサルのためのブログに役立つ、知的財産権の知識 

福永正也さんに聞く(2)講師、コンサルのためのブログに役立つ、知的財産権の知識 

 

講師、コンサルタントの信頼と著作権

フリー画像のフリーは、あくまで“条件つき”

―読みやすく、伝わりやすいブログにイメージ画像が果たす役割は大きいと思います。

となると自分で撮影するのがいちばんですが、そうでない場合は画像素材を集めたサイトを利用するのが便利ですよね。

わたしもそうしていますが、いわゆる“フリー画像”のサイトを利用する上で注意点はありますか。

福永 まず、フリー画像の“フリー”について、正しく理解することです。

フリーといっても、なんでもかんでもフリーというわけではありません。

あくまでも“一定の条件のもとであれば、無料で使用できる”だけです。

たとえば、そのまま使うならOKだけど、一部を切り取ったり、合成するなど改変したらダメというものもあります。

個人が趣味で運営している非商用ブログなら無料で使えるけど、商用なら使えないこともあります。

また、その画像サイトで扱っている画像がすべておなじ条件で使用できるのではなく、画像ごとに条件が違う場合もあります。

これらは必ず利用規約に書かれているので、よく読んでから使ってください。

 

―利用規約って、あんまり読まないんですよね。

福永 めんどうくさい気持ちはわかりますが、ひとつひとつもれなくチェックするしかないですね。

著作権を侵害して「それは知らなかった」、ということになってほしくないので。

 

—著作権を侵害した場合の実例があれば教えてください。

福永 フリー画像素材の例ではありませんが、たとえば写真週刊誌『フライデー』に掲載されていた写真をスキャナで取り込んで、自分のブログで無断で公開した人が著作権法違反で逮捕された例がありますね。

 

―その事件はアフィリエイトが目的だったと思いますが、商用ブログか非商用ブログかで判決が変わることはありますか。

福永 法律の観点からはどちらも「著作権侵害」をした点ではおなじです。

法人の場合、職務として侵害行為をしたと認められれば、実際に侵害行為をした社員個人だけでなく法人にも罰金刑が課せられるだけに慎重を期してほしいものです(両罰規定)。

商用ブログはここに注意といったところですが、商用・非商用以前に講師やコンサルの場合、著作権侵害は信用に関わることを忘れないでほしいですね。

 

フリー画像素材配布サイト

足成

ぱくたそ

写真AC

pixapay

    ※フリー素材の使用については、こちらの記事をお読みください。

 ※利用規約は変更されることもあります。

  必ず使用前にご一読いただき、規約に従った利用をお願いします。

 

動画と音楽に関する注意点

―動画についてはいかがでしょう。

TouTubeやvimeoなどはエンベッド(埋め込み)になりますよね。

引用というより、リンクの一種でしょうか。

福永 そうです。

リンクは原則OKですが、リンク先の動画について注意が必要です。

たとえばアーティストや企業などが“公式”としてリリースしているものであれば問題ありませんが、個人が違法でアップロードしたものだとマズいですね。

つまり、違法な動画であれば、利用規約に従っていてもOUTです。

リンクする前に必ず確認するようにしてください。 

 

スライド3

 

―公式の場合はYouTubeのページに確認バッジが入っています。

怪しいものは使わないということですね。

音楽についてはいかがですか。

“歌詞”と“音源”がありますが。

福永 音楽についてはJASRACなど著作権管理団体を通す、というのが第一歩です。

また、歌詞の引用として認められるのは、ワンフレーズくらい。

歌詞を2行程度引用して、それについて出典を明記し、批評、レビューするのであれば大きな問題はないでしょう。

音源で使用できるのは、著作権フリーの素材だけです。

 

アメブロは2013年11月、JASRACと包括的な契約をして、ユーザーが使用料を払わなくても歌詞を掲載できるようになったそうです。

 日頃から知的財産権に関する動向に注意する習慣をもっておきたいですね。

 

スライド2

撮影協力:ALTO5

 

 セミナーと著作権

―この記事は講師やコンサルタントの方が対象です。

セミナーやイベントを開催する場合の注意点について教えていただけますか。

福永 セミナーやイベントとなると、ブログとおなじようにいかないことが多くなります。

まず、スライドに使う画像は“引用”ではなく“使用”になります。

たとえ講義の内容がメインであっても、画像投影は“使用”と判断されます。

もちろんコラージュや改変もNGです。

 

Niky_filipova / Pixabay コラージュとは、たとえばこんなふうに複数の画像を組み合わせて新しいひとつの画像をつくることをいいます。

 

なので画像はご自分で撮影、または作成したオリジナルか許諾を得たもの、あるいは商用で利用できるフリー素材、有料素材を購入するといった方法が考えられます。

 

もっと注意が必要なのが音楽です。

商用でも使えるフリーの音源ならOKですが、市販されている曲の一部を無許可でスライドに組み込むのは著作権侵害にあたります。

待ち時間にBGMにCDの曲をかけると、著作権だけでなく公衆送信権の侵害になります。

 

―厳しいですね・・・

自宅サロンで待ち時間にCDやiPodで音楽を流すのもNGですか。

福永 私的使用に限られますからね。

 どんなメディアを使うかは関係ないんです。

使うコンテンツ(音楽)に著作権があるので。

たとえ待ち時間であったとしても、すくなくとも公の場と考えられる場所でコンサルやセミナーをしていれば、有償・無償にかかわらず、私的利用には該当しません。

音楽以外のアイスブレイクを考えるのも一案ですよ。

 

―たとえばアロマとか、お茶をお出しするとか・・・

わたしの友人ですが、作曲家にオリジナルの曲を作ってもらい、それをCDに焼いて、コンサル中に流しているそうです。

ナイスアイデアだと思いますが。

福永 作曲した人から事前に許可をとっておけばかまいません。

口頭でもいいですが、契約書にしておいたほうが、あとあと揉めずにすむでしょう。

将来のいろいろな可能性を考えて「曲を改変していいか」など、いくつか条項を入れておくといいですね。

契約書をつくる際は弁理士や弁護士に相談して、抜けている項目がないかチェックしてもらうと安心でしょう。

 

―音楽は制限が多いですね。

福永 そういう一面もありますが、縛りだと考えず、工夫するのがセミナー講師やコンサルの知恵だと思いますよ。

たとえば僕は過去にセミナー会場として、常時音楽が流れているようなレストランや結婚式場、パーティルームを使ってきました。

なぜかというとそういうところは包括的に音楽の使用許可を得ている可能性が高いからです。

カラオケのシダックスもセミナールームを併設しているのを見たことがあります。

お店に確認する必要はありますが、資料をつくるときの自由度が上がりますよね。

音楽は権利が複雑なので、会場自体が許可をとっていると安心です。

有線放送は導入時に契約を交わすことが多いですね。

音楽が重要な人は、セミナー会場がどういう取り決めをしているか、事前に確認しておいたほうが安心です。

 

著作権―リスクゼロは至難の業

―最後に大事なことを教えてください。

著作権を侵害する側にもされる側にもなりたくありません。

絶対に安全な方法はあるんでしょうか。

福永 もうおわかりだと思いますが、どんなに気をつけても完全にリスクを排除するのは難しいと言わざるをえません。

著作権に限らず、法律は解釈に幅を持たせるよう、抽象的に書かれていますからね。

だから専門家によっても見解がわかれることもあるんです。

最終的には一人ひとりが文化の発展に寄与する認識をもったうえで、知的財産権について正しい知識を持つように努めることです。

 

それに著作権は自分の都合ではなく、相手側(著作権を持っている人)から見て、どう感じるかが大事です。

すくなくとも係争になるのは、相手側が不快になったときですから。

だから判断に迷ったときは、最低限、自分がされたらイヤだと思うことはしないことですね。

 

―どんな使い方をするにせよ、使う前に許可を得るのはマナーでもあるように思います。

著作物に対する敬意のあらわれですね。

福永 マナーとしてはもちろん、使用の際に許諾を得ることは法律でも明記されていますからね。

 

―そうでした。

一方で法律的にはセーフでも倫理的にどうかということもありますよね。

オリンピックのエンブレム問題がそうでした。

福永 オリンピックエンブレムは法律的にはシロですね。

デザインに関していうと“まったくおなじ”でなければ、権利侵害とすることは実際には難しいんです。

ただ、あの件はそれまでの仕事で安易なことをしていたのがなぜか公になってしまい、仕事に対する姿勢が問われたわけですよね。

今の時代、隠してもごまかしてもすぐにわかると考えて、行動したほうがいいかもしれません。

だってネットですぐに拡散してしまいますから。

正直・素直・ウソをつかない—それがいちばんです(笑)。

 

―ありがとうございました。

 

スライド2

 

まとめ:“あなたではない誰かつくったもの”に、もっと敬意を

著作権の話をまじめに考えはじめると、怖くなっておいそれと画像が使えなくなります。

あれもこれも侵害じゃないか。

もしバレたらすごい賠償金が請求されるんじゃないか。

 

でも、著作権法ってほんらい“文化の発展に寄与”するための法律です。

引用であれば許諾を得ないで他人の著作物を利用できる理由を考えればわかるはず。

それは、自由な言論活動のためですよね。

また、クリエイティブ・コモンズ(※注)のような新しい著作権ルールもひろがりつつあります。

 

福永さんもおっしゃったように「されたらイヤなことはしない」―これは著作権を考えるときによく引き合いに出されます。

でも、されたらイヤなことは、人によって違います。

たとえば「わたしは改変されても平気だから、人の作品だって改変しちゃって大丈夫」―じゃないですよね。

 

なぜその画像を使いたいのか。

それは「よいものをつくりたい」という気持ちが根底にあるからです。

でも、その画像をつくったひとにもおなじ気持ちがあり、とくにわたしのようにデザインや写真などビジュアルを仕事にしている専門家やプロの作品には、つくる過程でお金がかかっていたり、お金を払っている人がいることを忘れないでください。

 

詳細は割愛しますが、今回の企画は、わたし自身の著作権に関する苦い経験に基づいています。

こういう記事を出す以上、責任がともなうので、すごく勇気がいりました。

 

わたし自身もここに書いたことを肝に銘じて、著作物は敬意をもって扱いたいし、自分の著作物もそのように扱われるとうれしいです。

 

お話を伺った福永さんが配信中の動画教材はこちらから。

今回お伺いしていない“著作権を侵害された場合”についてもくわしくお話されています。

下記でその一部が視聴できます。

 

YouTube Preview Image

 

※注:インターネット時代の新しい著作権ルール、“クリエイティブ・コモンズ”に関する記事はこちら

 クリエイティブ・コモンズは著作権者が「この条件を守れば、わたしの著作物を自由に使ってOK」という意思を示したライセンスです。

 ぜひご参考に。

  

では、本日もアドバンストな一日を。

 

参考:著作権テキスト(文化庁)

   はじめての方へ〜私たちの身の回りのアイデア、デザインなど〜(特許庁)

 

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。