セレブの部屋、第4回。

北摂国際特許事務所代表・弁理士の福永正也さんのインタビュー2回めです。

初回もあわせてどうぞ。

 

福永正也さんに聞く(1)講師、コンサルのためのブログに役立つ、知的財産権の知識

 

データがカンタンに複製でき、ネットですぐに拡散する・・・

いまはそんな時代です。

手軽におこなえるため、“著作物”に対してあまり敬意を払ってこなかった方も多いかもしれません。

それが、このところのオリンピックのエンブレム問題やTPPなどによって、にわかに注目を浴びました。

著作権は、デザイナーやミュージシャンなどクリエイターだけに関わりのある法律ではありません。

ブログにも当然、著作権があります。

さらに、レンタルブログ(アメブロ、livedoorブログなど)の場合は利用規約も絡んで問題はさらに複雑に。

講師、コンサルタントとして自信をもって情報発信をおこなうために、知っておきたい著作権の知識について伺いました。

 

撮影協力:ALTO5

 

正しく引用するための基礎知識

引用の要件とは—文章について

—さて、ここからは実際にブログを書く際の注意点を具体的にお聞きします。

ブログで著作権が問題になるのは、文章・画像・音楽・動画の4点ですよね。

まず、文章の場合、そっくりコピペするのはNGとして、引用はどこまでなら認められるのでしょうか。

福永 引用については著作権法第48条に要件が規定されています。

かいつまんで言うと、

(1)引用する資料などは、すでに公表されているものであること

(2)「公正な慣行」に合致すること

(3)報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること

(4)引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること

(5)カギ括弧(「」)などにより「引用部分」が明確になっていること

(6)引用をおこなう必然性があること

(7)出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があること)

です。

 

—この7つをすべて満たしていなければならないんですね。

福永 そうです。

ひとつずつ解説していきましょう。

(1)については、一般販売されている書籍や新聞、雑誌、webにアップされている記事などが対象ということです。

たとえばマル秘扱いの重要文書や内部資料などは公表できないから対象外になります。

 

(2)と(3)がちょっとわかりにくいかもしれませんね。

これに(4)と(5)を含めてまとめて答えると、すくなくとも自分の著作物と他人の著作物がはっきりと区別されていなければなりません。

たとえば、ブログならカギ括弧(「」)や引用タグを使って囲むといいでしょう。

こんなふうにね。

 

この文章は引用されています。

 

そうそう、ひとつ注意していただきたいことがあります。

引用する場合は、原文どおりにすることです。

もし原文に誤字があったとしても直してはいけません。

 

—あっ、たまに“原文ママ”とか“ママ”と注釈が入っているのはそれですね。

心情的には直したくなっちゃいますよね。

福永 たとえ誤字訂正だとしても、原文を改変すると引用にならないんですよ。

 

また、あくまでも自分の著作物が主体で、引用する他人の著作物は従たる存在であることです。

主従関係というのは、引用したものに対して批評を加え、全体として自分の批評がメインならOK。

逆に引用したものがメインになればNGです。

悪い例をあげると、他人の文章をまるごと貼りつけて、自分のコメントをちょっと付け加える場合。

それでは主従逆転ですよね。

 

ただ、主従関係は必ずしも文章のボリュームだけが問題ではないんです。

そこに(6)の必然性が関係してきます。

どんなに分量として少なくても、そもそも引用する必然性がない場合は引用として認められません。

「なるほど、この引用があるからわかりやすくなる」「イメージしやすくなる」ならいいわけです。

 

(7)は引用元、出典を明記しましょうね、ということ。

明記すれば法律上リンクを貼ることまで要求されませんが、著作権者が希望しているならしてあげてください。

著作権とは端的に言うと、自分の著作物をどう使ってもらうのか、自分でコントロールできる権利ですから。

 

—気をつけなければならないことがたくさんありますね。

「とりあえず出典を示しておけば引用になるわけではない」ということはわかりました。

福永 実務的にいえば、そんなに難しくないと思いますよ。

引用した部分がわかるように、「」で括ったり、枠で囲んだりして自分の文章とは区別する。

引用がメインにならないようにする。

引用元、出典を明記する。

すくなくともこれらは押さえておきたいですね。         

 

撮影協力:ALTO5

 

引用の要件とは—画像について

—スッキリしました。

では、次に画像についてお伺いします。

読みやすさ、とっつきやすさという意味では、画像があったほうがブログも見栄えがいい。

さらに、わたしのようにファッションやデザインがテーマの場合、画像はむしろ必須です。

画像の引用について、注意すべきことはなんでしょうか。

福永 原則として文章を引用する場合と同様です。

引用元をはっきりさせて、URLなどを明記し、自分の投稿や記事を補足する形態であること。

また、もとのイメージを損なわないために、改変もしないほうが安全です。

あくまでも批評やレビュー、紹介など記事が「主」で、写真は「従」ということです。

写真にキャプションをつけただけでは引用として認められません。

 

批評やレビュー、紹介がメインであれば、引用として認められるわけですね。

写真の大きさは関係しますか。

大きく使うと写真がメインのように見えないでしょうか。

福永 説明をわかりやすくするために写真を大きいサイズで使用することは問題ないですよ。

あくまでも記事がメインであることがわかればいいんです。

 

—なるほど。

では、イメージ画像として使いたい場合はどうですか。

福永 写真を使う必然性、記事との主従関係が明確であることが引用の要件ですから、イメージ画像のようにブログの彩りとして使うのが目的であればNGです。

 

—どうしてもその画像を使いたい場合はどうすればいいでしょう。

福永 シンプルですよ。

著者権者に許諾をとればいいんです。

 

—あっ、そうか、そうですよね(笑)。

福永 知っている人なら直接頼めばいいし、企業なら広報部などに問い合わせするといいでしょう。

新聞や雑誌、書籍なら、クレジットが入っていることもありますよね。

「こういう目的でブログに掲載したい」と、新聞社や出版社に直接申し出てみてください。

 

—新聞社は、写真や記事などの著作物を使いたい場合、webで利用申請ができるようになっていますね(※注)。

画像サイトのFlickrは、コメントを書き込むなどして撮影者とコンタクトが取れるようになっています。

そういう場合は直接ご本人に尋ねたらいいんですね。

福永 そういうことです。

ここで重要になってくるのが、“契約”です。

ある画像を使用するにあたって、当事者間で相談しあって契約を交わすことが大事なんです。

 

たとえばAさんが撮った写真をBさんが使いたいとします。

AさんとBさんは友人なので、タダでいいよ、となるかもしれません。

同じ写真をCさんも使いたい場合、AさんはCさんと面識がないので、使用料として10万円を請求することもできるわけです。

私的契約といいますが、それぞれ個別の契約になるんです。

繰り返しになりますが、著作権とは著作権者が自分の著作物をどう使ってもらうか、自分で決められる権利ですから。

 

だんだんわかってきました。

Aさんが無償だったからといって、Bさんもそうとは限らないということですね。

福永 それでもかまわない、ということです。

著作権者とそれを使用する人との関係性によって変わるんです。

もし無料で貸してくれたら使えばいいし、使用料を請求されたら、納得できる額かどうか考えて決めればいいと思いますよ。 

 

「画像お借りしました」では不充分

—ときどき「画像はお借りしました」と書いてあることがありますが、それだけでは不充分ということですね。

福永 著作権者から許諾を受けていれば問題ありません。

そうでなければ単なる無断借用です。

許諾は口頭でも構いませんが、契約書を交わしておいたほうがいいでしょう。

いずれにしても出典や引用元は明記する必要があります。

 

—たしかに著作権者がわかっている場合は、許諾を取れるかどうかは別にして、問い合わせをすればいいことはわかりました。

でも、問い合わせするのは撮影者だけでいいんですか。

人物の場合は写っている人の許可も必要では。

わたしは友人なら撮影時か掲載前に確認をとるようにしますし、たまたま知らない人や掲載されたくない人が写った場合は、ぼかしやモザイクを入れています。

写っている人が著名人の場合はどうすればいいでしょうか。

福永 人物の写真は、肖像権やパブリシティ権を侵害しないようにする必要がありますね。

肖像権は写真などを公開することでプライバシーが侵害される恐れがある場合に問題になります。

こういう写真を公開されるとイメージダウンになるとか、副業をやってることは会社にナイショだから出たくないとか。

 

著名人の場合、とくに問題になるのはパブリシティ権ですね。

著名人はその存在に集客力やお金を稼ぐ力があり、肖像そのものに商品価値があって、さまざまな経済効果を生み出すことができます。

つまり、著名人にとって、肖像は財産なんですね。

その財産である肖像・写真を無断でブログに掲載することは、パブリシティ権の侵害行為になります。

もし、記事が著名人の意向に添わない内容であれば、名誉毀損や不正表示防止法など著作権とは別の法律の管轄になります。

ですから、使用したい写真が引用の範囲に当てはまるかどうかは最終的には自己責任で慎重に判断する必要がありますね。

 

ただし、某アイドル事務所の所属タレントや某アミューズメントパークのキャラクターは、著作権、肖像権、パブリシティ権などについてひじょうに厳しいことで有名です。

うっかり写り込むことのないよう注意してくださいね。

 

撮影(上の写真のみ):かんばやしちあきさん

 

それでもやっぱり“賑やかし”のイメージ画像を使いたい場合に便利なのがフリー画像を集めたサイト。

フリー画像ならなんでもフリーかというと、じつはそうではありません。

次回はフリー素材の画像や動画、音楽の著作権について伺います。

 

お話を伺った福永さんが配信中の動画教材はこちらから。

下記でその一部が視聴できます。

 

YouTube Preview Image

 

では、本日もアドバンストな一日を。

 

※注:主要新聞社のサイトから使用したい記事や写真を申請できるようになっています。

各社の注意事項をよくお読みのうえ、ご利用ください。

朝日新聞 記事や写真の転載・利用ご希望の方へ

日本経済新聞 記事利用・リプリントサービスのご案内

毎日新聞 毎日新聞の著作物利用のご案内

読売新聞  記事・紙面の利用申込について

 

 

The following two tabs change content below.

miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。