目に見えるものはいつも別の見えるものを隠している。

—ルネ・マグリット

 

こんにちは。

ファッション・プランナー/スタイリング・カウンセラー®のやまだみゆきです。

 

シュルレアリズムって難解とか非現実的とかいわれるけど、独特の不思議感が、わたしは大好き。

 

ポスター画像出典:国立新美術館

 

芸術運動は多かれ少なかれ、美術だけでなく、文学、音楽、心理学、政治とも結びついていますが、とくにシュルレアリズムは既存の価値観や美意識をくつがえすものとしてとても興味深い。

 

ものすごくざっくり言ってしまうと、シュルレアリスムにいちばん共感するところは、目に見えているものがすべてではないところ。

 

じゃあ、どこに“すべて”があるのかというと、“無意識”なのか“イメージ”なのかわからないけど、“現実ではないどこか”。

それが“なに”か、“どこ”にあるのか、探す作業が楽しい。

 

ファッション関係者、クリエイターは、なぜマグリットを愛するか

シュルレアリスムの画家のなかで、もっとも好きなのがルネ・マグリット。

もう何度も観ているけれど、何度でも観たい。

 

マグリットはなんといっても、数あるシュルレアリスム作家のなかでも、ファッショナブルだからね。

 

そのせいか、ファッション関係者のなかにもマグリット好きは多い。

ヴィクター&ロルフ、コム・デ・ギャルソン、マルタン・マルジェラ、モスキーノには、あきらかに影響を受けていると思われるデザインが。

オープニング・セレモニーに至っては昨年、マグリットの作品をプリントに取り入れたコレクションを発表。

 

 

鳩、空と雲、青リンゴ、ベールで覆った顔、山高帽の紳士など、頻繁に登場するモチーフにインスパイアされた広告写真やファッション写真は枚挙にいとまがない。

最近では、『人の子』をモチーフにしたペリー・エリスのキャンペーンが記憶に新しいところ。

 

映画『トーマス・クラウン・アフェア』でも重要なモチーフとなる『人の子』は、マグリットの自画像といわれる。ペリー・エリスのキャンペーン広告は青リンゴだけでマグリットを想起させる控えめな使いかたに遊び心を感じる。

 

ファッション関係者は、スタイルをもっているひとをリスペクトするんですよね。

マグリットといえば、「山高帽とコート」。

その着こなしがなかなかダンディ。

 

たとえば下のポートレートは、ドイツの写真家・ローター・ヴァレーによるもの。

『ヒッチコック劇場』の有名なシルエットを思わせますね。

ただし、ヒッチコックは左を向いてるんだけど、マグリットは右向き。

意味があるかどうかはわかりません(笑)。

 

画像出典:wikipedia René Magritte photographed by Lothar Wolleh

 

ヒッチコック映画にイメージを重ねても違和感ないのがマグリットのおしゃれ感。

それにしても、あの山高帽とコート、ブランドはどこなんだろうと、つい考えてしまうのであった。

 

映画にも分身が登場

そのファッション性とミステリアスなヴィジュアルを活かしきった映画が、『トーマス・クラウン・アフェア』。

 

YouTube Preview Image

 

 

1968年、スティーブ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ主演の『華麗なる賭け』のリメイク。

 

リメイク作品ってイマイチなのが多いけど、これは設定そのものをかなり変えていて、その着想にオリジナリティがあるので、独立した作品といってもいいくらい。

個人的には、ピアース・ブロスナンは、ジェームズ・ボンドより、こっちのほうがいい。
レネ・ルッソの都会的なキャリア・ファッションもとびきりかっこよくてお気に入りの1本です。

 

この映画には、たくさん美術作品が登場しますが(絵画泥棒が主人公だから)、なかでも重要なモチーフとして使われるのが、マグリットの『人の子』。

“目に見えるものがすべてではない”ということが謎解きの鍵になっています。

 

残念ながら、今回の展覧会には出品されていないのですが、山高帽男をモチーフにした作品がいくつかあるので、わたしのアタマのなかには、映画で流れていたニーナ・シモンの『シナーマン』がエンドレス状態に(笑)。

グラフィックデザイナー時代の貴重な作品も

もうひとついうと、マグリットは商業デザイナー出身。

店舗のディスプレイも手がけたことがあるらしい。

 

 

その経験が、グラフィック・デザイン感覚のある作品のバックボーンになっているみたい。

ポスターを思わせるような、文字を使った作品も多い。

 

デザイナーやクリエイターがマグリットを愛するのは、自分たちと共通する“匂い”をその作風から感じるからかも。

わたしもグラフィック出身だから、その感覚、わかる気がします。

 

ファッションの視点で、シュルレアリストのルネ・マグリットを見直してみると、おしゃれな発見がたくさんあっておもしろい。

 

では、本日もアドバンストな一日を。

 

■マグリット展
・会期:2015年3月25日(水)~6月29日(月) 
・毎週火曜日休館 
・開館時間:10:00~18:00 金曜日は20:00まで。
※入場は閉館の30分まで
・会場:国立新美術館(東京・六本木)
・観覧料:一般1,600円

■7月11日(土)~10月12日(月・祝)の期間は、京都市美術館に巡回

※参考記事:マグリット展(Internet Museum)

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。