散る故によりて、咲く頃あれば、珍しきなり。

能も住する所なきを、先花と知るべし。

―世阿弥(『風姿花伝』花傳第七 別紙口傳より)

 

こんにちは。

アドバンスト・スタイリストのやまだみゆきです。

 

「きれい」になる心がけについて役立つ本をなにか1冊紹介してとリクエストされたら。

 

わたしは迷わずこの本をすすめます。

 

『風姿花伝』は、15世紀初め頃、世阿弥によって書かれた、日本最古の能楽論、演劇論、芸術論です。

 

なんでそんな古典を?

しかも演劇論を?って思いますよね。

 

スキンケアやメイクやファッションのテクニックだけで、みかけを大きく変えることはできます。

それは決して小手先じゃありません。

ひとが“美しい”と感じる共通のポイントはあるし、それを体系化したものは、多くのひとに使えるからです。

 

そのうえで、「きれい」を決めるのは、ある種の押し出す力です。

それは間違いなく自信からうまれます。

その自信は経験の積み重ねによって、ゆるぎないものになっていきます。

 

経験っていうのは、日々のお手入れ、日々の洋服選びのこと。

つまり、まいにちがレッスン、お稽古の積み重ねなんです。

 

稽古の意味は、古(いにしえ)を稽(かんが)う、から。

語源辞典には「昔のことを調べ、今なすべきことは何かを正しく知る」とあって、もとは学問にも使われていました。

 

“稽古”という、習いごと、学びに関する単語に“かんがえる”という字が使われたのは、とても象徴的です。

習い、学ぶとは、受け身にすればよいのではなく、主体的に“考える”という行動がともなうことが
前提になってるわけですよね。

 

「きれい」になるにも、流行や情報をうのみにするのではなく、自分で考え、試行錯誤を繰り返すことが必要です。

 

いまの方法が自分にはぴったりだったとしても、永遠におなじやりかたでは通用しません。

 

まさに世阿弥が

「花は散るのが定めで、咲く時節があるからこそ感銘を与える。

(花を咲かせつづけるには)停滞することなく、変化しつづけること」

と書いているとおり(冒頭の引用)。

 

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これが600年前に書かれたわけですよ。

 

奥義とか神髄とかを極めてる本は案外薄くてすぐ読めたりします。

 

言葉を選び、推敲を重ね、極限まで無駄を排除して、必要最低限のみに絞っているからですね。

そのぶん内容が濃く深いので、一生かけて理解していくことになります。

 

だから、折にふれて何度も読み返し、読むたびに発見がある。

 

究極の1冊です。

 

『風姿花伝』には、キーワードになる単語がいくつかあります。

それは“花”であり、“物学(ものまね)”であり、“幽玄”であり、“嵩(かさ)”“長(たけ)”“位(くらい)”など。

 

これを手がかりに読み解いていくんです。

というか、これらのキーワードがあれば、エイジングもブランディングも講師としてのありかたさえもこの1冊で読み解けます。

 

芸を極めるための芸術論なので、ジャンルを問わず、表現者なら必読の書。

一方で、人生論としても、教育論としても、人間論としてもビジネス論としても読める。

セミナーをするようになって読み返したら、また新たな気づきがありました。

なにか「知りたい」ということを抱えて読むと、なんらかの「ヒント」がどこかに書かれている。

 

わたしにとってはそういう本です。

 

 

では、本日もアドバンストな一日を。

 

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。