映画の原題は“Woman in Gold”。
『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』の別名です。

“オーストリアのモナリザ”と呼ばれ、長らくウィーンのベルヴェデーレ宮殿に飾られていました。
ナチスドイツが略奪した“叔母の形見”を、姉の遺志をついだマリア・アルトマンが、オーストリア政府から絵を取り返すまでを描いています。

映画はグスタフ・クリムトがアデーレをモデルに、この絵を創作するところから始まります。
金箔を一枚一枚貼りつけていく、幻想的なシーンです。

 

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ヘレン・ミレン演じるマリア・アルトマンは、L.A.でブティックを経営。
ふだんは淡いピンクや明るいクリーム色など、さわやかな色を着こなしています。
L.A.のまぶしい太陽に映える、スポーティエレガントなファッションで。

いっぽう、裁判所でのマリアは黒のスーツです。
ストッキングも黒。
公の場だから—だけではなく、“弔意”だと思いました。
ナチスとオーストリアに奪われた家族、友人、想い出に対しての。

 

 

出典:http://golden.gaga.ne.jp

 

映画には、たびたびマリアの若い頃のシーンがインサートされます。

ラストはその想い出のシーンのなかに現在のマリアがいます。
母や幼い頃の自分たち姉妹に微笑みかけ、叔父と絵本を眺める。
隣の部屋では、父が得意のチェロを弾いている。
結婚式で踊る若い日の自分に手拍子を贈る。
アデーレ叔母に招かれて別の部屋に行くと、そこには金色の肖像画が。

 

出典:http://golden.gaga.ne.jp

 

この神秘的なシーンで、マリアがほんとうに取り返したかったものがわかります。
それは、家族の幸せやユダヤ人としての誇り、さらにはこの街で生きた証ということを。

映画のもうひとりの主役は、弁護士のランディ。
ライアン・レイノルズが演じています。
家族ぐるみでつきあっている友人の息子です。
弁護士として伸び悩んでいた彼は、絵が高額と知り、下心いっぱいで引き受けます。

そんな彼が変わるのは、審問会のため、マリアとウィーンを訪れてから。
二度と訪れるつもりはなかった故郷で動揺する彼女の姿に、深い無念と悲しみをようやく理解します。
そして、ホロコースト記念館に刻まれた曾祖父母の名をみつけ・・・

 

審問会で返還は却下され、一度はあきらめるマリア。
その彼女をもう一度、法廷に向かわせたのは、ランディの執念です。
自分のルーツを知ったことで、マリアの悲しみの本質的な部分を共有できたんですね。

映画の途中で、絵画返還の訴訟に強い弁護士を紹介すると持ちかけられたマリアはきっぱり断ります。
ランディって、最初はかなり頼りないんです。
しかも“金”めあて。
それでも
「わたしの弁護士で満足よ」
と答えるマリアには、“おなじルーツ”に意味があったんだと思いました。

 

出典:http://golden.gaga.ne.jp

というわけで、この映画はランディの成長物語として観ることもできます。

お金のために働いていたとき、ランディはうまくいきませんでした。
でも、自分のルーツに触れ、過去の記憶を継承すること、祖国に対して罪を認めさせ、正義をはたすことが、彼の情熱の原動力になります。

情熱を持てることでしか、人は成功しない。
そんなことも気づかせてくれる作品です。

では、本日もアドバンストな一日を。

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。