充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。

—アーサー・C・クラーク(『未来のプロフィル』よりクラークの三法則)

 

スタイリングからクリエイティブまで、あなたの強みを“見える化”する、アドバンスト・スタイリストのやまだみゆきです。

 

仕事柄、ファッションセンスを磨くにはどんな本を読めばいいですか、と聞かれることがあります。

ふつうにファッション雑誌とか、スタイリストが書いたおしゃれのスキル本とかを紹介すればいいのかもしれません。

でもわたしに尋ねたということは、変化球を期待していらっしゃるのよね。

 

ということで、たとえばこの本です。

日経新聞に連載されたコラムをまとめたもの。

アートやアート的なものを科学の視点でとらえなおした解説書です。

 

文系、理系という区別の必要性って、大学受験のためですよね。

 

社会人になっても、たびたび文系か理系かは話題になります。

 

まあ「理系あるある」みたいなカタチでですけど。

 

だけど文系、理系って、そんな頑丈な壁で仕切られてるのかなぁ・・・

音楽(とくに演奏)をちょっとかじると、とても数学的なことがわかります。

近代絵画を学ぶと、遠近法だとか黄金比率だとかに、とても科学的な解釈が必要になることに気づきます。

色彩学の入口はほとんど物理。

 

おとなになって、受験以外で語られる“文系”“理系”は、学問的などうこうではなく、“センス”の問題。

似ても似つかないものから共通点をみつけたり。

まったく異なるものを結びつけて新しいものをつくったり。

 

そういうのは“文系”“理系”みたいに、型にはめる教育現場では育たない気がするなー。

本から作品をひとつ紹介。

 

著者の福岡伸一さんはフェルメールおたく。

この本にもフェルメールの作品がいくつか紹介されています。

わたしの好きな『絵画芸術』も。

 

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ヨハネス・フェルメール『絵画芸術』 De Schilderkunst 画像出典:Wikipedia

わたしはなんでも“ファッション視点”で見てしまうので、ローブの青とスカートの黄色というカラーコーディネートに見とれてしまう。

アクセサリーはゴールドのバロックトランペットと黄色い表紙の本(古代ギリシアの歴史家トゥキディデスの『戦史』といわれている)、そして月桂樹の冠。

フェルメールは「青×黄」の配色を好み、いろいろな作品に登場しています。

とくに青は“フェルメール・ブルー”とも呼ばれるほど。

鉱石のラピスラズリを原料としたウルトラマリンブルーという絵の具。

石の希少性に加え、原石から顔料に加工する技術が複雑だったため、フェルメール存命時の17世紀には、金より貴重といわれていたとか。

いまならデニムのコートにイエローのワイドパンツなんていいかも。

イエローのトートバッグ、ゴールドのアクセサリー、それにグリーンのニットキャップとか。

・・・なんてことを考えたりします。

 

ところで絵画に欠かせない絵の具の原料である顔料には、天然の鉱物由来のものも多いんですよね。

白の顔料は円石藻(プランクトン)の化石だったり、上質なものはハマグリを粉砕した粉だったり。

黄色は、砂漠や氷河に堆積した岩粉が風に運ばれて堆積した黄土からつくられます。

赤は、硫化水銀からなる鉱物。

緑(緑青)は、クジャク石の粉末。

黒には、油煙や松煙に含まれる炭素の微粉末(すす)が使われていました。

 

合成顔料が発達するまで、科学と芸術はいまよりもっと関わりが深かったようです。

 

この本はセンスを磨くための実践本。

後日紹介する『センスは知識からはじまる』とあわせて読むと、「知識」を磨きあげるには、“経験”と“着眼点”というフィルターがとても重要であることがわかります。

 

“芸術”と“科学”という、一見、相反するようなジャンルの素材が、どういう着眼点で解説されているか。

センスの原資である“知識”の引き出しが増える1冊です。

 

  

では、本日もアドバンストな1日を。

 

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。