「きみ、いったい何者なんだ」
「わたしの名前はV・I・ウォーショースキー、私立探偵で、いまはピーターの死を調査してるところ」
彼に名刺を差し出した。
「きみが? きみが私立探偵なら、こっちがバレリーナでもおかしくない」
彼は叫んだ。
(『サマータイム・ブルース』より  サラ・パレツキー 訳:山本やよい)

 

 

こんにちは。
アドバンスト・スタイリストのやまだみゆきです。

 

 

“ジャケ買い”なんて言葉が通用するのは、もはや書籍くらいになってしまいました。

 

いまや音楽はデータをダウンロード購入する時代。

試聴して購入できるダウンロードと違い、“ジャケ買い”はギャンブルです。

もしハズレだったら、インテリアにはなるかもしれませんが。

 

CDやLPのジャケットデザインは、グラフィック・デザイナーにとって、とてもやりがいのある仕事です。
ブックデザインや装丁も同様で、実際に聞いたり、読んだりしないとわからない世界を視覚化して、初めて見るお客さまに伝える。

そういうアーティスティックな表現力とレジに商品を持って行かせるセールス力の両方を求められます。

 

 

サラ・パレツキーのV.I.ウォーショースキーシリーズ第一作、『サマータイム・ブルース』のカバーには、どちらの力も備わっていました。

 

 

初めて梅田の紀伊國屋書店で見かけたときのことをわたしはいまでも覚えています。

 

カッコいい!!

 

そこには新しいヒロインがいました。

 

これまでミステリの世界では彩りに過ぎなかった女性たちが、みずからの手で事件を解決し、人生を切り拓いていく。

“わたしのボスは、わたし”

 

そのメッセージが伝わってくるヴィジュアルでした。

 

ヴィク・シリーズのカバーイラストは第10作まで江口寿史さんでした。

 

ファンの間では、いまだにヴィクといえば江口さん。
そしてアタマのなかのヴィク像は、『サマータイム・ブルース』という人が多いと聞きます。

 

 

ハヤカワミステリ文庫として刊行され、初版がハードカバー(ハヤカワ・ノヴェルズ)になったのは第7作『ガーディアン・エンジェル』から。
後日、文庫化される際には新たなイラストが書き下ろされ、結局、両方買う羽目に。

 

 

 

でも第10作『ビター・メモリー』を最後に、表紙が変わります。

 

 

もともと10作という契約だったのか、ほかの事情があったのかはわかりません。
ただ、江口さんの都会的で洗練されたイラストが、それまでマニアのものだったミステリ小説のファンの間口をひろげるのに、ひと役買ったことは間違いないでしょう。

 

いつ、なにで読んだのかは失念してしまいましたが、江口さんはヴィク・シリーズを読んでおらず、イメージだけをふくらませて、一連のイラストを描いていたとか。

 

原作に縛られないためにそういうスタンスをとるのも、作家としてはアリだとわたしは思います。

 

ただ、原作を読まない(らしい)江口さんのやりかたは諸刃の剣でもありました。
2002年発売の『ビター・メモリー』の表紙には、紫煙をくゆらす女性が描かれています。

 

ヴィクは愛煙家だった父親を肺気腫で亡くしています。
初版の発売日を心待ちにするほどのファンは、彼女がタバコ嫌いなのを知っているので、この表紙には強烈な違和感があります。

 

 

作家も原作を読まないし、編集者も読んでないの???

 

 

『ビター・メモリー』はその後文庫化された際、上下巻となり、どちらもカバーは写真です。

 

 

近年、翻訳ミステリは人気が低迷しています。
かつてライバルといわれたキンジー・ミルホーンの翻訳版の刊行が途中で止まってしまったことを思えば、ヴィク・シリーズはこれまでのところ2〜4年待ちで日本の店頭に並びます。

確実に翻訳されているだけでも、感謝すべきかもしれません。

 

 

写真だったカバーが、ふたたびイラストになったのは『サマータイム・ブルース』の新版が出た2010年から。

わたしのまわりでは、この新しいイラスト、あまり評判がよろしくありません。

 

 

最新作のヴィクは50代ですが、どう見たって若すぎるからです。

 

 

 

ヴィクシリーズだとわかっていれば、表紙が岩波文庫でもわたしは新作を買うでしょう。

 

 

 

それは長年のファンだから。
新しいファンの獲得には、新しいアプローチが必要です。

80年代には、女性がハードボイルドの主人公になるだけで新鮮でした。
2010年代には、50代のヒロインがハードボイルドでカラダを張っていることが、同世代を(ハラハラさせつつ)、共感を呼んでいるところに、ヒントがあるような気がします。

 

 

さて。
イメージ・コンサルティングをすること。
それは新しい“その人”像の提案です。

“ジャケ買い”に値するインパクトを与えるポートレートがあれば、年収や集客が変わるでしょう。

コンサルをするとき、わたしは秘かにその方にキャッチフレーズをつけています。
そしてそのフレーズを表現する服を探すんです。

 

ヴィクのキャッチフレーズは“わたしのボスは、わたし”。

 

イメージを変えてみたい方は、自分の新しいキャッチフレーズを考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

では、本日もアドバンストな一日を。

 

<講 座 案 内>

9月16日にセミナー講師など、
人前に立つことが多い方むけの
セミナーを開催します。
ご自分にキャッチフレーズをつけていただく
ワークもあります。

▶パーソナル・スタイリスト、カラーリストなど
   ファッションの資格やスキルを活かして仕事を始めたい人に
■パーソナルコーディネーター®入門講座

10月  3日(土)14:00~16:00(残席1)
10月  7日(水)14:00~16:00
10月15日(木)14:00~16:00
10月20日(火)14:00~16:00
10月25日(日)14:00~16:00
10月30日(金)14:00~16:00

【会場】STYLE & PLAN サロン
(お申込みの方に個別でご案内します)

【受講料】5,400円(税込)

※各回2名/おひとりから開講
 お申し込みはこちらから。

 

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miyuqui yamada

講師、講演家、コンサルタントなど人前に立つ人の外見と内面を装いでイメージアップする専門家。 34年間クリエイティブ業界において、アパレル、化粧品、流通大手企業をクライアントに、広告制作・販促・編集企画のディレクターとして、数百回のプレゼンと2500名以上の成功者の取材・寄稿に関わり、「勝つ人」「成功する人」の外見に興味を持つ。92〜95年、外資系化粧品会社にて2000名以上の女性にメイクとファッションのセミナーを実施。2014年STYLE&PLAN設立。自身のプレゼン、講師経験をもとに衣装を担当したクライアントがセミナー講師コンテスト入賞・優勝を続々と果たす。その勝率は8割。「セミナー講師、服装」の検索においてはGoogle検索1位。