「海上保険会社が契約でカバーしたがらないことね。
ふつうは積荷が対象だけど―割れる卵とか
―船自体が対象になることもある。
船底から水を汲み出さなくちゃならないとしたら、
その船には内在する欠陥がある」
—トマス・ピンチョン(『LAヴァイス』)

 

 

こんにちは。
ファッション・プランナー/スタイリング・カウンセラー®の
やまだみゆきです。

 

 

4月30日に引越をしました。

広い部屋から小さい家に行くので、
本の大半は整理する時間がなく、倉庫に移しました。

文芸書の大半は処分しました。
おそらく図書館で読めるので。

円状塔とサミュエル・R・ディレイニーの『ダールグレン』と
ピンチョンの全小説だけは残しておきました。

 

まだ読めていないから。

 

人は何のためにない時間を割いてまで、読書をするのか。
しかも、本なんて読めば読むほどわからなくなる。

 

ある程度の読書家ならご存知のように、
本はたくさん読めば読むほど、相反する意見を散見することになります。

 

たとえば。

 

やせるなら炭水化物抜きだ。
やせるなら炭水化物抜きはダメだ。

 

・・・どっちやねん。

 

どちらもある程度正しく、どちらもある程度間違っている。

 

それは立場にもよるし、見方にもよる。
それ以外の事情もある。

 

 

答えを求めて本を読むひとは、
答えは本には書かれていない、といずれ知ることになります。

答えは結局自分のなかにしかない、と。

 

 

 

 

円状塔とピンチョンは、読むたびに試されているような気がして、
ひじょうに居心地が悪い。
それでもいつか居心地がよくなるのではないかと期待して、
ページを開く。

読むことはできるけれど、読み切ることはいまのところ、できていない。
それが本を残しておいた理由です。

 

 

映画『インヒアレント・ヴァイス』は、
ピンチョンがノーベル文学賞候補の常連であるとか
(でもきっと授賞式には現れないだろうとか)、
語るひとは多いが読んでいるひとは少ないとか、
若い頃のプロフィール写真しか残っていないとか、
いろいろ胡散臭いことがいわれてるけど、
そんなことはいっさい知らないで、
ただの探偵映画として観ても、
筋はわかるし、ふつうにおもしろがれるようにできています。

 

でも、筋なんてどうでもいい。

 

おもしろいかどうかも、どうでもいい。

 

この映画は—というか、小説も含めて、この作品には
膨大な情報量はあるけれど、ほかにはなにもない。

 

陰謀も謎もあるようでない。

 

 

・・・たぶん、ないと思う。

 

おそらく。

 

・・・うん

 

 

 

 

 

あると思うものがなくて、
ないと思うものがもしかしたらあるかもしれない、
というのはかなり居心地が悪いし、
考えようによっては怖いことですよね。

 

ピンチョンが問い続けているのはそういうことかなと
現時点ではそう思ってるわけですが、もちろん確信はありません。

 

原作トマス・ピンチョン『LAヴァイス』 新潮社      トマス・ピンチョン全小説

 

では、本日もよい一日を。